研究実績の概要 |
[研究目的]: 開発したアパタイト光触媒の歯磨剤への応用可能性について, アパタイト光触媒配合歯磨剤を試作し, 着色モデル(アパタイト焼結体)を用いて, LED光照射下での漂白効果について検討した. [材料と方法]: 1.アパタイト光触媒の調整:アパタイト光触媒としてHAP-Yb(可視光応答型)を使用した.アパタイト光触媒は1,400℃, 1時間大気雰囲気下で加熱合成した. 2.着色モデルの作製:HAP焼結体をMB水溶液中に浸漬して着色した焼結体(着色モデル)を作製した. 3.アパタイト光触媒配合歯磨剤の試作:歯磨剤ペーストに光触媒粉末を加えて配合量の異なる3種類の歯磨剤(10,20,30wt%光触媒配合)を試作し,漂白効果に対する配合量の影響について検討した.4.LED光照射下での音波振動ブラシによるブラッシング:歯磨剤ペーストを着色モデル表面に適量塗布後、LED光照射下でブラッシングを行った. 音波振動のみで2分間ブラッシングし,30回行って毎回測色した.漂白効果に対するブラッシング回数の影響について検討した.5.測色と統計処理:測色は簡易測色計で行った. CIE 1976 Lab表色系を用い, 漂白の程度は, 色差とL*, a*, b*値で評価した.有意差検定は一元配置分散分析と多重比較検定により行った. [結果と考察]: 30回のブラッシング後の色差では, コントロール, 10wt%配合歯磨剤, 20wt%配合歯磨剤および30wt%配合歯磨剤との間にそれぞれ有意差(p<0.05)がみられ, アパタイト光触媒の配合量が多い歯磨剤ほど, 漂白効果は大きいことがわかった. また, ブラッシング回数が多いほど, L*値と色差は増加した. これらの結果から, アパタイト光触媒配合歯磨剤は, 光照射下のブラッシングで, 着色モデルに対して漂白効果を示すことがわかった.
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