研究課題/領域番号 |
17K11792
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
城戸 寛史 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (90169897)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | インプラント / 骨芽細胞 / AMPキナーゼ活性 / 分化 / 石灰化 / 骨結合 |
研究実績の概要 |
糖尿病や高齢者のサルコオステオペニア、骨粗鬆症の予防や治療に、全身運動が効果的であることはすでに知られている。一方で、歯の喪失による咀嚼機能低下は栄養不足による虚弱や脳血流量の低下による認知機能低下に影響をおよぼすことも報告されている。その根拠の一つとして、骨格筋の活動によるAMPキナーゼ活性が挙げられ、AMPキナーゼ活性による血糖値や中性脂肪の降下効果が報告されている。また、AMPキナーゼ活性による悪性腫瘍の治療や骨粗鬆症の改善への応用が試みられており、AMPキナーゼの活性化が骨芽細胞の分化や成熟に関与することも報告されている。そこで、歯科インプラントの骨結合におけるAMPキナーゼ活性の効果を検討するために、チタンプレート上で培養した骨芽細胞に対して、AMPキナーゼ活性の影響を検討した。 MC3T3-E1細胞を48wellプレート内に設置したチタンプレート上で培養し、以下の二つの条件について、培養7,14,21日後の骨芽細胞分化マーカーの遺伝子発現、ALP活性および石灰化を評価した。チタンプレートは10×10×1 mmで、表面粗さはSa 0.347μmとした。 ①石灰化誘導群(OG群)(α-MEM培地にL-アスコルビン酸とβ-グリセロリンを添加した石灰化誘導培地) ②石灰化誘導+AMPキナーゼ活性群(OG+AICAR群)(①の培地にAICAR(AMPキナーゼ活性促進剤)を添加) その結果、培養7日後および14日後にOG群と比較してOG+AICAR群で、ALPの活性が有意に高くなった。また、21日後に有意な石灰化の促進を認めた。このことから、AMPキナーゼ活性はチタン表面における骨芽細胞の分化。成熟を促進しオッセオインテグレーションの強化に寄与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症拡大の影響で、主に教育関連のエフォート率を上げる必要があり、また、研究室の使用が制限されたため計画通りに研究を進めることが困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
培養条件として①石灰化誘導を行わない②通常の培養シャーレにおけるAMPキナーゼ活性の効果、について追加の評価を行う。また、OCやRUNX2などの他の骨分化マーカーについて評価を行う。さらに、マウスを使用してin VITRO におけるAMPキナーゼ活性がインプラントの骨結合におよぼす影響を形態組織学的に評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症蔓延のため実験の遂行に支障がでたため、研究期間の延長を申請したため。
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