研究実績の概要 |
AMPKは、ミトコンドリア合成を促しエネルギー産生に関与し、細胞内へのグルコースや脂質の取り込みの中心的機能を有するなど、細胞内のエネルギーの恒常性を保つ酵素として知られている。AMPK促進剤AICARは、骨格筋の筋肉量の増強や白血病の治療等様々な薬効が期待されており、その中でも骨芽細胞の分化成熟を促進することを報告した論文は多数存在するが、インプラント周囲の骨芽細胞との関係性に着目した研究成果は乏しい。 本研究の目的は、AICAR(AMPK活性促進剤)はインプラントの予後に効果があるか検証することである。Materials & Methods: 24well plate を用いてチタンプレート上でosteoblast-like cell MC3T3-E1を培養した。実験群は以下の3群に区分した。①通常培養群、②石灰化誘導群、③石灰化誘導+AMPK活性化群。day0,7,14,21,でサンプルを回収し、細胞数の測定、real-time PCR法にてALP,Osterix,RunX2等の骨芽細胞分化マーカーの遺伝子発現の評価を行い、ALP活性および石灰化を評価した。Results: real-time PCR法の結果よりAMPK活性化により石灰化の初期マーカーALPの発現が、通常培養、石灰化誘導と比較して有意に増加した。また、石灰化の後期マーカーosterixの有意な発現の増加も認めた. ALP活性および石灰化能の有意な増加を認めたため、AMPK活性化によって骨芽細胞の石灰化能の促進を誘発しうることが示唆された。Conclusion: AMPK活性化によりインプラント周囲骨芽細胞の分化・成熟を促し、石灰化を賦活化した。よって、AMPK活性化がインプラントの良好な維持安定をもたらしうることが示唆された。
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