研究課題/領域番号 |
17K11802
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
土屋 周平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (20569785)
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研究分担者 |
黒田 健介 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (00283408)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | インプラント / オッセオインテグレーション / 糖鎖 |
研究実績の概要 |
ヒト骨芽細胞様細胞の細胞株であるMG63細胞をチタン板上で培養をした。チタン板上でのコンドロイチン4硫酸の糖転移酵素の発現をRT-PCR法によって確認した。C4ST-1、C4ST-2、C4ST-3の遺伝子発現は、培養1日目にポリスチレン製培養皿よりも高い発現となり、培養3日、7日では発現が低下することが明らかになった。これらC4STファミリーの遺伝子発現に違いは認められなかった。このことから、チタン板上のコンドロイチン4硫酸は、骨芽細胞が接着してから早期に発現が出ることが明らかになった。また、チタン板上で培養した骨芽細胞様細胞との界面を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ポリスチレン製培養皿で培養した骨芽細胞様細胞との界面よりもチタン板上で培養した界面のほうが、糖鎖様構造が厚くなっていることが明らかになった。また、この糖鎖様構造は培養1日目に形成され、培養3日、7日目とは厚さに変わりはなかった。このことから、遺伝子発現の結果と相関し、コンドロイチン硫酸は、早期に糖鎖様構造を形成することが明らかになった。また、その糖鎖様構造の内部にはコラーゲン繊維は観察されなかった。 さらに、チタン上でヒト骨芽細胞様が分泌するコンドロイチン4硫酸の役割を解明するために、shRNA法を用いてC4ST-1遺伝子をノックダウンすることを試みている。ベクターを細胞内に導入することはできたが、ノックダウンの効率が低かった。そこで、シングルクローニングをすることでノックダウンの効率が高い細胞を選択している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
C4ST-1のノックダウン効率が低いことが問題となっている。シングルセルをクローニングすることで、ノックダウン効率が高い細胞を選択することを試みている。それでも、効率が悪いようであれば、ノックダウンではなく、ノックアウト方法を試みる。
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今後の研究の推進方策 |
骨芽細胞様細胞の糖転移酵素であるC4ST-1の機能解析をすすめる。問題点である遺伝子導入効率を可及的に解決する。本問題が解決された場合には、C4ST-1が骨形成関連遺伝子に及ぼす影響を確認する。また、チタン板上で骨芽細胞様細胞を培養し、その界面にある糖鎖構造の変化を観察する。 遺伝子導入効率の改善が不可能であった場合には、他の糖転移酵素の遺伝子をノックダウンすることを考慮する。
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次年度使用額が生じた理由 |
進捗状況がやや遅れていることから細胞培養経費と学会発表のための旅費が少なくなった。引き続き実験の消耗品費とその成果発表、情報収集のための助成金として使用する。
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