研究課題/領域番号 |
17K11805
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 宏佑 九州大学, 大学病院, 医員 (80792895)
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研究分担者 |
大内田 理一 九州大学, 大学病院, 助教 (20325468)
小栗 晋 九州大学, 先端医療イノベーションセンター, 学術研究員 (10756919)
橋爪 誠 九州大学, 医学研究院, 教授 (90198664)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ロボット支援手術 / ナビゲーション手術 / 歯科インプラント学 |
研究実績の概要 |
研究目的は,近年広く行われるようになってきた歯科インプラント手術を,より安全に行うための歯科インプラント手術支援ロボットの開発である。その多くは局所麻酔下にて行われる歯科インプラント手術の術中において,手術部位の動きに対し,赤外線を用いた歯牙固定によるリファレンスおよびマーカーによって位置変動を検知し,術前CT上のインプラント設計ポジション通りにインプラント床形成を行う歯科インプラント手術支援ロボットの開発である。産業用ロボットでは,現在生産ラインにおいて高価な高精度基盤に備え付けた盲目的な作業のみならず,カメラ等で対象物の位置を検知して作業や検品が行われている。いわゆる「眼」を持ったロボットが活躍している。歯科インプラント手術は前者の画一的大量生産的盲目的アプローチでは行えず,1症例1症例各々症例に応じたいわばオーダーメイドの手術である。そこでロボットを応用するにあたり後者の「眼」を持たせる事が必要不可欠である.すなわち高精度なロボットのみでは施術は不可能で,高精度なナビゲーションシステムが必要不可欠である。 今年度目標の高精度ナビゲーションシステムについて 異なる座標系間の変換式を求めるために,マーカーとともに,着脱時に位置の再現性が良いマウスピース型レジストレーション法を開発,安定した精度と使いやすさを確保した。さらに金属歯冠修復物が多数装着されている口腔内では,CT撮影時ハレーションにて金属ピンマーカーが見えにくい場合が起こる可能性があるため,規格化した金属マーカーが埋め込まれた円盤を咬合平面上のハレーションの起こりにくい場所に設置する事を考慮し3Dプリンターにて製作した。マウスピースにワンタッチで赤外線マーカーを装着した後は簡単に手で除去出来るようにした。ソフトのみばかりでなくハード面もユーザーフレンドリーに設計を行い高精度ナビゲーションシステムの試作機を完成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ロボット支援手術においては、そのリスクを低減させるために安定した高精度ナビゲーションシステムが必要不可欠である。ナビゲーションシステムには機械式アーム、光学式、電磁波、赤外線によるもの等あるが、我々は2007年から歯科インプラントのみならず耳鼻科領域,脳外科領域,眼科領域等300症例以上赤外線ナビゲーションシステム下における手術を行っており,術中リニアに追従する赤外線ナビゲーションシステムをアップグレードしてきた。術者フレンドリーな直感的インターフェースを有する歯科インプラント手術ナビゲーションシステムをまず完成させた。
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今後の研究の推進方策 |
高精度ロボットアームの開発 歯科インプラント手術支援用に有効なサイズと関節数,可動域,またアームの剛性と軽量化を図った専用ロボットアームを開発する。機械式アームはブレーキシステムによる手術支援を考えており、インプラント床形成時の手ぶれや過形成による解剖学的リスクを低減する。 高精度ナビゲーションシステムと高精度ロボットアームの融合 開発したロボットアームを前述のナビゲーションシステムとソフト的にリンクさせた制御とし,ユーザーフレンドリーにタッチパネルで操作出来るように構成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 高精度ナビゲーションシステムの構築に対し,九州大学知財部の聞き取りの間隔と特許出願に至ったタイミングや,ギャップファンド他の外部資金獲得のため使用計画を変更した. (使用計画) これまで開発して来たナビゲーションシステムの要素要素を機能的に組み上げるためのソフトウェアの外注経費や,システムの治具の更新,ロボットアームの試作を行う予定.
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