研究課題
歯科臨床で歯科用インプラント体として多く用いられているチタンやチタン合金は、生体親和性に優れ、咬合機能の回復に優れている。歯科用インプラント体を植立する際には、インプラント体を埋入する母床骨が十分であることが治療においては重要である。また、術前に母床骨が不足している場合やインプラント体植立後に周囲炎で骨吸収が起こった場合にも、その骨量の改善を行う。インプラント体埋入の周囲の骨量を改善する試みとして、骨補填材や骨移植などの材料による補修が試みられるほか、インプラント体周囲への薬剤の局所投与が検討されている。本研究では、骨形成を促進するスタチン系薬剤をチタン表面に修飾固定し、インプラント体から生体に骨形成を促す材料の開発を試みる。本報告では、チタンに正面処理として、ブラスト処理およびアルカリ処理し、ドーパミンを介してスタチン系薬剤の固定を試みた。コラゲナーゼ存在下でスタチン系薬剤の徐放が明らかになった一方で、最終年度から皮下組織へスタチン固定したチタン板を埋入し、その反応について組織学的な検討を行った。試料はアルミナブラスト、アルミナブラストにアルカリ処理、アルミナブラストにアルカリ処理後にスタチンで修飾したチタンを準備し、ラットの皮下組織に埋入した。埋入1、2、4、8週後にチタン板と周囲組織を取りだし、HE染色により炎症反応の有無を評価した。アルカリ処理後にスタチンを修飾したチタン板では、埋入1週ではフルバスタチンで修飾したチタン板表面に最もリンパ球浸潤が認められたが、重度の炎症反応は認められなかった。埋入4週ではアルミナブラストしたチタン板と同様に線維性被膜に覆われていた.
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Dental Materials Journal
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