研究課題/領域番号 |
17K11811
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
池田 貴之 日本大学, 歯学部, 講師 (30366603)
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研究分担者 |
塩田 洋平 日本大学, 歯学部, 専修医 (00508624) [辞退]
成田 達哉 日本大学, 歯学部, 助教 (50508629) [辞退]
本田 雅規 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70361623)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 三次元配向性コラーゲン / 骨増生 |
研究実績の概要 |
三次元配向性コラーゲンマテリアル製作および細胞接着 コラーゲンマテリアルの製作はこれまで研究成果から、円柱状のコラーゲンマテリアルはコラーゲンシームレスチューブからのコラーゲン線維の放出がなければ、立方体のコラーゲンマテリアルと同等の細胞接着を示すこと。剥離が少なく取り扱いが容易であること、製作期間、製作費用を抑制することが可能であることの三点から、コラーゲン線維の放出を防ぎ適度なコラーゲン線維量もしくは空孔率を保持することで立方体のコラーゲンマテリアルよりも移植実験において有効である可能性が示唆された。この結果を基に、幅径0.1mmのコラーゲン線維をコラーゲンシートに配列し、そのシートをコラーゲンシームレスチューブ内に設置することで、空孔率を保持しながらもコラーゲン線維がチューブ内から放出しない円柱状のコラーゲンマテリアルを製作した。この円柱状コラーゲンマテリアルはコラーゲン線維の本数が少なくなっているため、シームレスチューブに直接コラーゲン線維を挿入したタイプよりも細胞接着が低値であったが、コラーゲン線維の放出がないため安定した結果となった。 三次元配向性コラーゲンマテリアルの埋入実験 ラット大腿骨にコラーゲンシートをシームレスチューブに設置した円柱状コラーゲンマテリアルを垂直に埋入した。埋入1週間において円柱状コラーゲンマテリアルは大腿骨に保持されているが、シームレスチューブとコラーゲンシートが離開し、シームレスチューブからコラーゲンシートおよびコラーゲン線維が突出し、円柱型を維持できていない個体を認めた。これは大腿骨内からの出血がシームレスチューブ内を通過する過程でシームレスチューブとコラーゲンシートの接着を破壊したためと考える。シームレスチューブとコラーゲンシートの接着向上が必要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
立方体コラーゲンマテリアルから円柱状コラーゲンマテリアルへ改善後、円柱状コラーゲンマテリアル内からコラーゲン線維の放出を防止するために、コラーゲンシートにコラーゲンファイバーを配列し、そのシートをシームレスチューブ内に設置した円柱状コラーゲンマテリアルを製作した。この円柱状コラーゲンマテリアルはコラーゲン線維数が減少していることから細胞接着は低くなったが、コラーゲン線維が放出しないため、安定した細胞接着を認めた。この結果から、ラット埋入用の円柱状コラーゲンマテリアルを製作し、ラット大腿骨に垂直に埋入を行った。埋入時は円柱状コラーゲンマテリアルからコラーゲンファイバーの突出もなく取り扱うことができたが、シームレスチューブ内を通過するラット大腿骨からの出血により円柱状コラーゲンマテリアル自体が押し戻されため、一定の固定時間が必要となった。埋入1週間において円柱状コラーゲンマテリアルからコラーゲンシートおよびコラーゲン線維が突出し円柱形体を保持出来ていない個体を認めた。今後は治癒期間を待ち骨増生を確認する事。シームレスチューブとコラーゲンシートの結合を強くし、設置するシートを工夫することで埋入時の位置を保持を容易にする必要がある。平成30年より埋入実験を行う予定としていたため、進捗状況は順調であるが、コラーゲンマテリアルの確定には至っていないため、おおむね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
円柱形コラーゲンマテリアルはコラーゲン線維をコラーゲンシートに配列し、そのシートをシームレスチューブに設定するタイプが製作および取り扱いにおいて有効であることが判明した。しかし、シームレスチューブとコラーゲンシートの結合がラット大腿骨埋入時の出血等によって破壊されることを認めたため、シームレスチューブとの結合強化および、設置するシート形態を工夫することを予定していてる。シームレスチューブとの結合強化は、シームレスチューブとコラーゲンシートの接着自体を強化する方法および接着シームレスチューブと結合するコラーゲンシートの面積を増加することが考えられる。過去に製作していた立方体コラーゲンマテリアルの強度増加のために接着力を増加させたが、その際、空孔率が低下し細胞接着数が減少した。シームレスチューブ内で接着力を増加させる場合は空孔率を低下させない方法を考慮する必要がある。一方でコラーゲンシートの面積を増加させる方法は結合強度の増加がどの程度であるか不明な点があるが、空孔率については問題を生じない。以上の問題点および現在治癒をまっている埋入済みラットの結果を考慮し、最終的な円柱型コラーゲンマテリアルを製作する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた円柱状コラーゲンマテリアル製作費が、コラーゲンシートにコラーゲンファイバーを配列し、そのシートをシームレスチューブに設置する方法にしたところ、安価になったために次年度使用額が生じた。また予定していた国際学会への参加を取りやめたことも次年度使用額が生じた原因である。 次年度では、次年度使用額に平成31年度助成金を合わせて、円柱状コラーゲンマテリアルの改良を行い、骨増生能を精査する予定。
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