研究課題/領域番号 |
17K11818
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
梅田 誠 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (90193937)
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研究分担者 |
田口 洋一郎 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (60434792)
楠本 哲次 大阪歯科大学, 医療保健学部, 教授 (70186394)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | グルコース / チタン / インプラント周囲炎 |
研究実績の概要 |
申請者らは,純チタンプレートを10M水酸化ナトリウム水溶液に室温で24時間浸漬し,1時間600℃で加熱処理を行うことによって,表面に酸化ナノ構造(TNS構造)を析出することを明らかにした.1時間600℃で加熱処理を行うことによってチタン金属表面の酸化層において炭素分子の検出が減少しそのことが硬組織再生に適した環境になると考えられる. TNS構造析出チタン表面上にGK系ラットの骨髄間葉系細胞を播種し,空腹時血糖値を参考に,通常グルコース群(5.5mM),コントロールされた糖尿病患者群(8.0mM),非コントロール糖尿病患者群(12.0mM,24.0mM)の4群に濃度調整し,硬組織分化誘導を行った.ALP活性はグルコース濃度の上昇とともに減少したが,これとは対照的にOCN産生量とCa析出量はグルコース濃度8.0 mMで著明に減少したが,これより高濃度になると増加した.Ca/P比はグルコース濃度に関係しており,OCN産生量およびCa析出量に類似した傾向を示した.炎症性サイトカインは高グルコース濃度によって高い発現を認めたが,ナノレベル表面制御構造チタン表面では,高グルコース濃度の効果においても発現は上昇しなかった. 以上の結果から,高グルコース濃度では硬組織形成は増加したが,硬組織の質は低下した.すなわち,糖尿病による高血糖状態はナノレベル表面構造制御チタン表面において,インプラントフィクスチャーの初期固定やインプラント周囲炎予防に重要な役割を果たす骨髄細胞の硬組織形成に影響を及ぼすことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
数種の骨分化誘導タンパクの定量は現在検索が終了していないが,培養上清や細胞抽出液等の試料は超低温下で保存しており,続けて平成30年度にELISA等で測定を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度で未達成な検索を平成30年度の実験計画と並行して行う。具体的には平成30年度に予定している炎症惹起下のインプラント周囲炎モデルについてin vitroでの検索を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画の一部が次年度にずれ込み,助成金の使用も次年度にずれ込んだため。当該実験計画は既に開始しており,次年度の上半期には使用する予定である。
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