研究課題/領域番号 |
17K11820
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大賀 則孝 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (40548202)
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研究分担者 |
北川 善政 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (00224957)
佐藤 淳 北海道大学, 歯学研究院, 講師 (60319069)
山崎 裕 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (90250464)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 腫瘍血管新生 / 低酸素 / 口腔癌 / FDG-PET |
研究実績の概要 |
腫瘍の増殖、浸潤、進行に伴い、腫瘍組織では酸素が不足し一部は低酸素(Hypoxia)に陥る。近年、18F-Fluoromisonidazole(FMISO)-PETが癌組織内の低酸素状態(hypoxia)を非侵襲的に検出できる方法として注目を集めている。しかし口腔癌におけるFMISO-PETを用いた低酸素状態(hypoxia)の評価、およびその臨床的意義についての研究はほとんどみられない。当科では2009年から北海道大学病院核医学診療科の協力のもとに、口腔癌患者にFMISO-PET検査を行い、FMISO-PETのSUV値が高値を示し低酸素であると考えられた口腔癌ではHIF-1αを高発現している症例が多いことを明らかにした (Sato. J, J Nucl Med 2013)。一方、FMISO-PETで描出される低酸素領域と腫瘍血管新生の程度を表すMVDとの関連を報告している研究はほとんどみられない。北海道大学病院歯科診療センターでFMISO-PET検索を行った口腔癌27症例について検索した。切除標本のほぼ中心部を血管内皮マーカーCD31抗体 (DAKO) で免疫染色しMVDを測定した。解析にあたり、FMISO SUV値≧1.25の症例を低酸素口腔癌症例、FMISO SUV値<1.25の症例を非低酸素口腔癌症例として、MVD値とFMISO-PET SUV値との関係を検討した。 1.FMISO-PETで低酸素と考えられた口腔癌症例では、非低酸素症例に比べ、微小血管密度が高いことが示された(p<0.05)。今後、口腔癌低酸素症例で血管新生が亢進している症例の血管について詳細な検索を行い、腫瘍微小環境における低酸素環境による血管新生メカニズムについて検索する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
口腔癌の病理切片で、CD31による免疫染色がすすみ、腫瘍血管密度の測定が順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
FMISO-PETの低酸素化のパラメータ値と腫瘍血管の密度が関連があることを発表した(Ohga.N 2017口腔外科学会 日中口腔顎顔面外科合同シンポジウム)。本年度(H30年度)は、腫瘍血管の免疫染色(αSMA、VE-cadherin) を行い、腫瘍の未熟性とFMISO-PETとの関連について詳細に検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
腫瘍血管染色用の抗体を多く見積もっていたが、適正な染色条件が得られたので、抗体を予定した分より少ない量で実験を行うことができた。
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