研究課題/領域番号 |
17K11826
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上床 喜和子 東京大学, 医学部附属病院, 登録診療員 (20769583)
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研究分担者 |
藤原 夕子 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50466744)
西條 英人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80372390)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30344451)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 軟骨再生医療 / 成熟促進因子 |
研究実績の概要 |
現行の軟骨再生医療は、培養中に脱分化する軟骨細胞が、生体内に移植されると自然に成熟する 過程を活用して行われているが、その分子メカニズムの詳細は不明である。本申請では、フォー カスド・プロテオーム解析を導入した網羅的かつ精緻な解析により、生体内における軟骨細胞の 成熟促進因子を同定し、組織成熟シグナルを明らかにすることを目的としている。さらに得られ た知見を基に、in vitro で成熟した再生軟骨を誘導する方法の確立を目指す。「生体内に移植された軟骨細胞」と「基質誘導培地で培養された軟骨細胞」を比較対象とした網羅的プロテオーム解析を行い、新たな切り口で組織成熟過程に関わる因子を同定していく。また、微量酵素やシグナル分子、転写因子など、細胞内で極微量にしか存在しないタンパクの変動については、2 次元電気泳動を用いた通常の網羅的プロテオーム解析での検出は困難になることが想定される。そこで、リン酸化タンパク質の抽出など試料の前処理により、微量因子の検出を可能にするフォーカスド・プロテオーム解析を用いた精緻な解析も併せて行い、生体内における組織成熟メカニズムのシグナル伝達経路の解明を目指す。さらに得られた知見を基にinvitro で成熟した再生軟骨を作製する技術を確立する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、in vivoとin vitroの軟骨細胞の評価を行い、網羅的な解析を行うためのサンプル採取を行っている。カバースリップ以外にも共培養で使用するインサートの内面に細胞を播種し、インサート上面同士を接着させることにより内腔面に細胞が播種されたデバイスが完成する。これをマウス皮下に移植することにより、ホスト側の細胞間接着なしで移植側細胞が侵入することができない空間形成が可能となった。この系を確立し、in vivoで軟骨再生が形成されない群と形成される群を作製することにより、in vitroとin vivo比較、in vivoとin vivoの比較が可能となり、より詳細な検討が行えるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
軟骨細胞の成熟過程に関わる因子の網羅的検索として、インサートを用いたデバイス作製により、インサート外面に細胞を播種し軟骨形成が見られる群とインサートの内面に細胞を播種した群、上面同士を接着させたほうのインサートのメンブレン側にさらにポリカーボネートを接着させ完全にホスト側の細胞侵入を防止する群、細胞播種なしインサートのみ群で移植を行い、結果により比較対象となりえる群のインサート内の貯留液におけるプロテオーム解析を行い、詳細に内容物を評価する。カバースリップを用いたin vitro群、in vivo群においては細胞を回収し、網羅的なマイクロアレイを行い、遺伝子レベルでも併行して比較を行う。これらの解析により、組織成熟シグナル伝達機構の解明と促進因子の選定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
業者のキャンペーンなどを利用し、予定より安価に購入することができた。 インサートを用いたデバイスを新規に作製したため、次年度以降の条件検討が増える予定である。加えて来年度以降に候補因子を選定して検証を行っていく予定であるが、プロテオーム解析やマイクロアレイなど手法を増やし、異なるアプローチ方法で網羅的な解析を行っていく予定にしている。
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