研究課題
我々が樹立・保有する約300人分のヒト智歯歯髄細胞(DPC)に含まれていた3種類のHLAハプロタイプホモ(HHH)細胞は日本人の約25%に移植適合を示す。我々は、これらのHHH細胞からiPS細胞を誘導し、再生医療資源として利用するための研究を続けている。近年、間葉系細胞の培養上清中に含まれる小胞「エクソソーム」が、様々な生理活性を示すことがわかってきた。しかしエクソソームにもHLA分子が含まれている可能性があり、患者の体内でHLA分子の抗体が作られると、免疫的なエクソソームの排除を免れない。そこで、本研究では、HHH-DP細胞のエクソソームと、HHH-DP細胞に由来するHHH-iPS細胞のエクソソームを比較しました。岐阜大学では3種類のHHH-DPCを無血清で培養したものとHHH-iPS細胞をフィーダー細胞なし無血清で培養した細胞を用意し、その培養上清から超遠心法および沈殿法を用いてエクソソーム精製し、 精製されたエキソソームを、粒子サイズ測定、エクソソームマーカーやHLAクラスI発現をウエスタンブロット法、およびmiRNA発現分析にて比較しました。HHH-DPエクソソームとHHH-iPSエクソソームでは、miRNAの発現プロファイルが異なることがわかりました。 HHH-iPSエクソソームは、HLA発現レベルが低下するなど、有益な特性を示しました。 ただし、HHH-DPエクソソームと比較すると、HHH-iPSエクソソームでは、サイズの不均一性が高く、エクソソームのタンパク質マーカー発現が少ないことも観察されました。 異なる細胞源から産生されたエクソソームは、それらの様々な生物学的活性および治療有用性に影響を与える可能性がありそうである。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
Journal of Bone and Mineral Metabolism
巻: 37 ページ: 467~474
10.1007/s00774-018-0954-8