研究課題
RNA干渉によりSema4D発現を抑制したHSC-2細胞株を5株作製した(shSema4D#1,shSema4D#2,shSema4D#3,shSema4D#4,shSema4D#5)いずれも対照であるshControlと比較してSema4D発現は抑制されていたが,最も抑制効果の強かったshSema4D#4を以降の動物実験に用いた.作製した細胞株(shControlを遺伝子導入したHSC-2とshSema4D#4を遺伝子導入したHSC-2)をヌードマウス大腿骨傍骨膜に移植し,骨浸潤モデルにおけるSema4D発現抑制の影響を検討した.移植後,経時的に腫瘍サイズを計測し,4週後に大腿骨とともに腫瘍組織を摘出した.shControl群とshSema4D群を比較したところ腫瘍体積,腫瘍重量ともにshSema4D群で有意に抑制されていた.Sema4D発現抑制により腫瘍増殖が抑制されたと考えられた.摘出した腫瘍組織を免疫組織化学的に解析を行った.腫瘍組織のPlexinB1,IGF-I,IGF-IRの発現はshControl群とshSema4D群ともに変化なかったが,Ki-67陽性の癌細胞数,CD31陽性の血管数はshSema4D群で減少しており,Sema4D発現抑制により腫瘍増殖および血管新生が抑制されている事が明らかとなった.癌細胞の産生するSema4Dが腫瘍増殖および血管新生を促進している可能性があると考えられた.腫瘍組織の酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ染色(TRAP染色)を行なったところ,shSema4D群で腫瘍組織中の破骨細胞数は有意に減少しており,Sema4D発現抑制により破骨細胞形成が抑制されたと考えられた.癌細胞の産生するSema4Dが破骨細胞の形成を促進している可能性があると考えられた.
2: おおむね順調に進展している
In vitroの実験は予想通りの結果が得られており、In vivoの実験を行っている.
各種口腔扁平上皮癌細胞株にRNA干渉によりPlexinB1発現抑制細胞株を作製し,ヌードマウス大腿骨傍骨膜に移植を行い,骨浸潤モデルでのその影響を検討する予定である.移植後,経時的に腫瘍サイズを計測し,4週後に大腿骨を摘出し,組織学的に解析する予定である.
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
International Journal of Oncology
巻: 54 ページ: 283-294
10.3892/ijo.2018.4631.