研究課題/領域番号 |
17K11838
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉岡 幸男 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (20335665)
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研究分担者 |
岡本 哲治 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (00169153)
小鹿 一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50152492)
山崎 佐知子 広島大学, 病院(歯), 病院助教 (00632001)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 海洋生物 / 生理活性物質 / 口腔癌 / 扁平上皮癌 / 抗腫瘍効果 / 毒性実験 / 抗癌剤 / Crambescidin |
研究実績の概要 |
海洋生物は,地上の生物とは異なる代謝システムや生理機能を有しているため,それらが産生する生理活性物質は,医薬及びそのリード化合物となりうる可能 性を秘めている.従来から我々は,海洋生物由来の抗がん剤開発を目指した新規生理活性物質の探索およびその機能解析を行い,報告してきた.われわれはイン ドネシア近海で採取した紅藻(Laurencia intricata)およびカイメン(Clathria bulbotoxa)より精製,同定した生理活性物質についてその抗腫瘍効果について解 析を進めた.紅藻およびカイメンのエタノール・メタノール(4:1)抽出物を種々の逆相系クロマトグラフィーを用いて分離した.無血清培養系での扁平上皮 癌(SCC)細胞の増殖抑制活性を指標に各活性画分の精製を進めた.最終的な活性物質をLC/MSを用いて構造決定し, 同定した.さらに,カイメンより精製した活 性物質のSCC細胞の遺伝子発現に及ぼす影響をDNAアイクロアレイを用いて網羅的に解析した.紅藻より4種類の生理活性物質を精製した.構造解析の結果,全て 既知のbrominated sesquiterpenesであった.カイメンより精製,構造決定した6種類の生理活性物質は全てグアニジンアルカロイド(Crambescidin)であり,そ のうちの3種類は新規物質であった.Crambescidin 657(分子量:657)はSCC細胞に対して強力な増殖抑制活性を示し,そのIC50は32.85ng/ml(50nM)であった. 50nM Crambescidin657で24時間処理した扁平上皮癌細胞A431よりRNAを抽出し,DNAマイクロアレイ解析を行 いシグナルを解析した結果,細胞周期に関する遺伝子群の発現が低下し,コレステロール合成酵素,炎症に関する遺伝子群の発現亢進がみられた.
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