研究課題
H. pyloriに対する口腔粘膜の感染免疫応答機構の解明とH. pylori感染胃癌患者における胃粘膜病原菌,口腔常在菌が各々の粘膜に及ぼす影響を明らかにするため以下の実験を計画した。口腔粘膜上皮細胞においてH. pylori加熱死菌・LPS により誘導される遺伝子の網羅的解析により誘導される遺伝子を同定する。さらにH. pylori 加熱死菌・LPS によって活性化される転写因子,H. pyloriを認識する受容体を同定する。H. pylori 感染胃癌患者におかる口腔内環境,口腔内H. pylori・歯周病原菌の感染を検討する。さらに歯周炎マウスモデルを用いてH. pylori感染による炎症の影響を検討する。H. pylori感染胃癌患者の唾液・胃粘膜組織の細菌叢を解析し,増加・欠如する細菌を同定,同定した細菌をヌードマウスにH. pyloriと同時感染させ,歯周炎症や胃粘膜の炎症の影響を検討する。今回、申請者らは,口腔粘膜上皮細胞をH. pylori LPSで刺激すると,大腸菌 LPS刺激とは異なる炎症性関連遺伝子が誘導されることを発見した。さらに、胃癌患者の手術前後における唾液サンプルと胃粘膜組織から採取した検体(胃癌摘出時,1年後内視鏡検査時)をH. pylori 口腔内血清陽性群,口腔内血清陰性群に分類し,年齢,性別の類似する群を抽出,16Sr RNA アレイにて口腔内細菌叢と胃粘膜細菌叢を解析した。現在、唾液,胃粘膜に共通にみられるH. pylori 感染群,非感染群で異なっている細菌候補を抽出し,細菌特異的PCR プライマーを作製後,残りのサンプルでReal-time PCR を行い,ロジステック解析を行っている。最終的にH. pylori 感染患者によって唾液,胃粘膜で増加する細菌,あるいは欠如する細菌の同定と,胃癌摘出後細菌叢の変化を引き続き検証する。
すべて 2019
すべて 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)