研究課題/領域番号 |
17K11845
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松原 良太 九州大学, 歯学研究院, 助教 (60615798)
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研究分担者 |
川野 真太郎 九州大学, 大学病院, 講師 (00398067)
神野 哲平 九州大学, 大学病院, 助教 (60755247)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ΔNp63 / 口腔扁平上皮癌(OSCC) / 上皮-間葉転換(EMT) / 浸潤・転移 |
研究実績の概要 |
本研究では癌の発生および浸潤・転移に関与していると考えられている上皮-間葉転換 (epithelial-mesenchymal transition:EMT)に着目し、その制御分子であるΔNp63を介した口腔扁平上皮癌 (oral squamous cell c arcinoma:OSCC)の発生および 浸潤・転移能の獲得機構を分子生物学的に解明することを目的として研究を行っている。現在までに得られた結果について以下に示す。 1. ΔNp63の発現抑制により、OSCC細胞株において線維芽細胞様の形態変化、細胞増殖活性の低下、細胞遊走能、浸潤能の亢進を認めた 。 2. ΔNp63の過剰発現により、OSCC細胞株において多角形の細胞形態変化、細胞増殖活性の亢進、細胞遊走能、浸潤能の低下を認めた。 3. 高転移OSCC細胞株においてΔNp63の発現は認められず、間葉系マーカーの強発現を認めた。 以上の結果より、OSCCにおいてΔNp63の発現減弱あるいは消失がEMTを誘導していることが示唆され、浸潤・転移能の獲得に関与している可能性が推察され た。本研究によりΔNp63を介した癌の発生および浸潤・転移能獲得の分子機構が解明され、ΔNp63が癌治療の標的となり得るならば、抗癌剤、分子標的薬、外 科治療等原発巣の治療が進歩した現在においても治癒が困難な頸部再発や遠隔転移の治療法の開発に大きく貢献でき、癌治療のパラダイムシフトとなる可能性があるため、意義のある研究であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではΔNp63によるEMTを介した口腔扁平上皮癌の発生および浸潤・転移能の獲得機構を分子生物学的に解明することを目的として研究を行っている。現時点での研究結果より、ΔNp63の下流にEMTに関連する分子が存在していることを確認できており、ΔNp63が口腔扁平上皮癌においてEMTを制御している可能性が見出されている。そのため、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の今後の推進方策として、OSCC細胞株におけるΔNp63の転写制御に関わるEMT関連分子の同定、高転移口腔扁平上皮癌細胞株の細胞生物学的特性の検索を行い、さらにNp63の転写制御が抗癌剤および分子標的薬の効果に与える影響についても検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 次年度に物品の購入が必要なため、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度に必要な物品の購入に充てる。
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