研究課題/領域番号 |
17K11847
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
岩竹 真弓 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 技術職員 (40624614)
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研究分担者 |
住田 吉慶 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (50456654)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 臍帯由来間葉系幹細胞 / 骨芽細胞分化 |
研究実績の概要 |
間葉系幹細胞は由来する組織によって分化能や増殖能において異なった特性を有している。例えば臍帯由来のMSCは増殖活性が高く、骨組織への分化能を有することが報告されている。しかしながら、臍帯MSCは採取が非侵襲的であり未分化度の高いMSCが得られるという特徴があるものの、他の組織から単離されたMSCよりも骨分化誘導に時間を要し、Alkaline Phosphatase (ALP)活性も低く、その分化機構についても不明な点が多い。そこで本研究では臍帯MSCによる骨分化機構の解明と分化を亢進させる培養条件の確立を目指した。 骨髄MSCと臍帯MSCについてALP活性およびALP mRNAを測定した。その結果、臍帯MSCは骨髄MSCよりもALP発現ピークは遅く、発現量が低いことを確認した。そこで骨組織に多く存在するType-I collagenを用い、ゲル上で臍帯MSCの培養を試みたところ、ALP mRNA発現レベルは飛躍的に上昇し、骨髄MSCと同程度まで達した。さらにゲル上培養での細胞動態を解析した結果、ゲル上培養によって遊走性は亢進し、アクチンフィラメントが高密度に集積した細胞骨格を形成した。 このようにコラーゲンゲル上培養で骨芽細胞誘導が促進される現象について、分化誘導亢進に強く関与する因子を同定するためマイクロアレイ解析を行った。細胞の形態を変化させることが骨芽細胞誘導に必要であることが示唆されたことから、細胞骨格調節因子に着目して解析を進めている。 また未分化マーカーであるNanogは臍帯MSCを骨分化誘導しても未分化性の維持および未分化細胞の増殖を促進したが、コラーゲンゲル上で培養、分化誘導すると未分化能を消失することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コラーゲンゲル上培養については当初の研究計画にほぼ沿って進捗しており、繰り返し実験の実施により、解析データの確定に至っている。 コラーゲンゲル上培養で骨芽細胞分化を誘導するメカニズムを解析するため、マイクロアレイ解析を実施し、現在骨芽細胞へ分化する過程でコラーゲンゲル上培養において発現上昇する遺伝子群を抽出しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
骨芽細胞誘導に強く関与することが予想される遺伝子群を抽出し、臍帯由来間葉系幹細胞にsiRNAノックダウンまたは過剰発現させて骨芽細胞へ分化誘導効率を飛躍的に向上させる臍帯MSCを作製する。その細胞を骨欠損モデルマウスに移植し、骨再生能を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本組織学会学会費を計上するよう予定していたが、平成30年4月に支払うように変更になったため。
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