研究課題/領域番号 |
17K11849
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
山本 俊郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40347472)
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研究分担者 |
松田 修 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00271164)
足立 哲也 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10613573)
PEZZOTTI G. 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (70262962)
金村 成智 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70204542)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | バイオマテリアル / ナノゲル / 骨再生 / 足場材料 / 間葉系幹細胞 / エクソソーム / ラマン分光法 |
研究実績の概要 |
近年、組織工学の発展により、生体外で生体組織構築し、移植する試みが行われている。多分化能を有する間葉系幹細胞(MSC)の3次元培養には、培養基板の弾性により細胞分化の成熟度が制御されることから、組織培養には、培養液以外に足場の性状も考慮する必要がある。さらに、MSCは足場材料上で3次元培養することで、2次元培養では得られない、再生因子を含むエクソソームを産生することが知られている。MSCの3次元培養は、細胞自身の分化を促進するだけでなく、再生因子を含む液性因子の産生を促すことで、母床組織の再生に寄与すると考えられる。そのため、適切な足場材料を選択することは組織培養において非常に重要であると考えられる。申請者らはナノキャリアであるナノゲルを基盤とした新規足場材料多孔性ナノゲル架橋ハイブリッドゲル(以下ハイブリッドナノゲル)を作製した。ナノゲルは国内外で臨床治験されており、既存の異種(ブタや牛)由来のコラーゲンを主成分とした足場材料と異なり、原料が天然多糖プルラン由来であるため生体内で容易に分解されるため、安全性が高いと考えられる。過去の報告より、ナノゲル由来の足場材料であるナノゲル・メンブレンはPDGFといった成長因子を補足することから、ハイブリッドナノゲルにも同様に、成長因子の足場材料内で留めるとされている。このハイブリッドナノゲルとMSCの併用は、移植細胞の直接的な効果のみならず、ナノゲル内にMSCが分泌する成長因子を捕捉し、成長因子を安定的に長期間徐放する効果が期待できる。本研究は、ドッラグデリバリー機能を有する足場材料ハイブリッドゲルとMSCを併用した新規顎骨再生療法の開発を行うことを目的とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスMSC細胞株をハイブリッドナノゲルに播種し、骨分化誘導下にて3次元培養を行った。骨分化誘導後、ハイブリッドゲルに形成された骨組織を蛍光X線分析で元素分析したところ、ハイドロキシアパタイトを構成するCaとPのピークを認めた。走査型プローブ顕微鏡においても、ハイブリッドゲル上に石灰化物が形成されていることを確認した。in vitroの系においてハイブリットゲルは、骨再生の足場材料として、既存の足場材料よりも優れていることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、in vitroの系においてハイブリットゲルは、骨再生の足場材料として、既存の足場材料よりも優れていることを確認した。今後は構築された骨組織の質(石灰化度、結晶構造、コラーゲン成熟度)をレーザーラマン顕微鏡で評価する。また、骨再生を促す液性因子をELISAにて確認する。最終的には、ハイブリットゲルとMSCを骨欠損動物モデルに移植し、骨再生を促すかを確認する。
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