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2017 年度 実施状況報告書

歯嚢由来細胞の神経系細胞分化機序と神経再生への有効性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K11857
研究機関日本大学

研究代表者

小倉 直美  日本大学, 松戸歯学部, 講師 (10152448)

研究分担者 伊藤 耕  日本大学, 松戸歯学部, 講師 (20419758)
高橋 康輔  日本大学, 松戸歯学部, 講師 (30705687)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード歯嚢由来細胞 / 神経細胞 / グリア細胞 / 再生医療
研究実績の概要

歯嚢は埋伏歯を抜歯する際に抜去歯と共に破棄される組織である.歯嚢は神経堤由来の組織で,組織幹細胞が存在すること,歯嚢由来細胞(歯嚢細胞)は,骨芽細胞や脂肪細胞等へと分化することが報告されている.本年度は,歯嚢細胞の神経系細胞への分化能を検討した.【方法】本学倫理委員会の指針に従い,歯嚢をcollagenase/dispase処理し,滑膜細胞を分離し,初代培養および継代培養を行った.歯嚢細胞をfibornectin coating plateに播種し,間葉系幹細胞神経細胞誘導培地 (NDM)で培養して神経系細胞への分化誘導を行った.さらに,歯嚢細胞を無血DMEMにサプリメント B-27, bFGF, EGFを加えた培養液で培養し, neurosphereを形成させた.神経系細胞マーカーの発現は,免疫組織化学染色法およびreal time-PCR 法で調べた.【結果および考察】分化誘導を行っていない歯嚢細胞でも, 神経幹細胞マーカーであるNestin (NES), 神経前駆細胞マーカーであるMusashi (MSI)-1, と-2, 神経細胞マーカーであるtubulin-β-III (TUBB3), グリア細胞マーカーであるmyelin basic protein (MBP) の発現を認めた. NES およびTUBB3は,神経細胞への分化誘導の有無に関わらず, 歯嚢細胞では恒常的に発現していた. MSI-1, -2 および MBP は, 神経細胞への分化誘導により発現上昇が認められた.また,neurosphere形成すると,神経系細胞マーカー発現が上昇した.以上の結果から, 歯嚢細胞には, 神経系細胞へと分化可能な細胞が存在することが認められ,神経再生の基礎的研究または医療応用に有用である可能性が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

十数名の患者から歯嚢組織を採取し,歯嚢細胞の分離・培養を行っており,実験に使用可能な歯嚢細胞の例数は増えている。歯嚢細胞の神経系細胞への分化誘導方法を確立した.歯嚢細胞には,神経系細胞へ分化可能な細胞が存在することを明らかになった.

今後の研究の推進方策

本年度,歯嚢には,神経系細胞へ分化する細胞が存在していること明らかにした.しかし,歯嚢から分離した細胞はheterogeneousであり,分離した細胞すべてが神経系細胞へと分化するのではないと考えられる.歯嚢組織から効率よく神経系細胞へと分化する細胞を採取するために,歯嚢組織のどの部位にどのような細胞群が存在しているのを組織学的に検討する予定である.さらに,歯嚢細胞を神経細胞またはグリア細胞へと分化誘導する培地の検討を行う.

次年度使用額が生じた理由

(理由)当初の計画より,購入した神経系細胞の細胞マーカーに対する抗体の種類が少なかったため.また,本申請の研究に対する成果はおおむね順調に進んでいるが,本テーマでの学会発表は次年度となるため,学会旅費での使用がなかったため。
(使用計画)歯嚢細胞を神経系細胞やシュワン細胞へと分化誘導する培地や,神経系細胞マーカー発現を検討するための,免疫組織化学染色用試薬,遺伝子発現を測定するためのreal time-PCR試薬等の購入に使用する.

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公開日: 2018-12-17  

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