研究課題/領域番号 |
17K11862
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研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
川上 敏行 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (80104892)
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研究分担者 |
富田 美穂子 松本歯科大学, 歯学部附属病院, 教授 (00366329)
前田 初彦 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (30175591)
長塚 仁 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (70237535)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯原性腫瘍 / 異物肉芽腫 / 歯根膜ポリープ / 慢性炎症 / Wnt / Notch |
研究実績の概要 |
顎骨腫瘍に関して,歯原性腫瘍の代表であるエナメル上皮線維腫における細胞増殖にWntとβカテニンの関与がある事を明確に示した。すなわち,これらのシグナルが,腫瘍細胞の分化,とくに扁平上皮化生に関している事が判った。また,エナメル上皮腫におけるNotchの関与によって扁平上皮化生が生じること,しかし角化にまでは行かないことなどに関して明らかにしつつある。これらに関しては,日本病理学会,Asia Pacific Congress on DEntal and Oral Health, 日本口腔外科学会などにおいて発表した。
また,歯根膜の慢性炎症である歯根膜ポリープにおける増殖細胞の主役も骨髄から供給される事を示した。すなわち,線維芽細胞や血管内皮細胞までもが歯根膜に特有のものでありこれらも骨髄からの供給である事を明確化した。これらに関しては,日本外傷歯学会,硬組織再生生物学会,日本口腔科学会中部地方部会,歯科基礎医学会などにおいて発表した。
さらに,異物肉芽腫に関して,今までに行ったコレステリンと同様に,吸収性縫合糸(Vicryl)の生体内埋入によって惹起される異物肉芽腫の構成細胞の動態に関して,GFP骨髄移植実験動物を用いて追究し,その主たる由来は骨髄であることを明確にしました。同時にその細胞は約6か月にわたり埋入の局所にとどまっている事を示し,同時に,異物巨細胞についても同様であることを示した。これに関してはその一部として,研究協力者が口頭発表するとともに,論文としても印刷公表した(日外傷歯誌 13::23-28、2017)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回の研究テーマである「口腔増殖性病変の病理発生における細胞の増殖,移動そして分化機構の解明」では,3つのサブテーマがあるが,そのどれもが順調に研究成果が出ており,最終のまとめと発表の段階に入っているのである。
H30年度には,論文としてのまとめの学会における研究論文の発表や論文掲載などを予定しており,既にいくつかのものは既に投稿している。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進捗しているので,今年度はそのまとめを行う予定である。
具体的には,①学会発表,②研究論文の発表などである。③さらに一部のものは単行著者としても公開したい。する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の使用額が若干予定額より下回ったのは,研究が順調に進みながらも論文としての出版が,受理まで運べずに若干滞っていたためである。したがって,H30年度にはこれらに関しての印刷出版経費,研究成果の発表に関して使用する予定である。
既に2原稿に関しては出版社に提出しており,現在審査を受けている最中である。これらが順調に採択され,出版されればH30年度の合計予算も当初の予定通りに遂行できると確認している。
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