研究課題
口腔増殖性病変の病理発生における細胞の増殖,移動そして分化機構の解明に関して研究を行った。まず,歯と歯周組織ならびに関連口腔領域における各種の細胞の移動とその分化の機構を検討することにした。またこれら関連する組織から発生するエナメル上皮腫をはじめとする各種の歯原性腫瘍の腫瘍発生実験と骨髄幹細胞移植とを組み合わす事によって,骨髄幹細胞が歯原性腫瘍の実質細胞に分化誘導され,またその腫瘍間質構成細胞にも同幹細胞が強く関わっているとの発想に至った。そこで,「口腔増殖性病変の病理発生における細胞の増殖,移動そして分化機構の解明」に関し申請者らはGFP骨髄移植マウスを用いた実験系を使い,顎口腔病変における細胞動態と分化に関する研究を行って来た。その中で,歯周組織の改造時の細胞供給源として,骨髄から移動するものが多い事を明らかにした。そこでさらに,口腔の増殖性病変の範囲を拡大し①慢性炎症性病変(歯周組織),②肉芽腫性病変,③口腔の腫瘍性病変,などについて,その細胞の供給源,その移動の様相,そして細胞分化に関する分子調節機構の解明をすることによって,その病変の抑制機構を明らかにした。その結果,実験的な歯周組織の変化や異物肉芽腫における検討では,いずれにおいてもGFPに対して陽性を示したことから骨髄から供給されていることが明確となった。さらに,口腔の腫瘍性病変(臨床材料による検討)として,代表的な歯原性腫瘍のエナメル上皮腫においても,HSP、pHSPがこれらの細胞の分化、とくに扁平上皮化生に関して強く関与していると考えられた。
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