研究課題
癌微小環境において、癌細胞自身が発現するサイトカインやケモカインのみならず、癌間質に浸潤・集積してくる炎症細胞、免疫担当細胞などの支持細胞が発現している様々なサイトカインが、癌の浸潤・転移に不可欠なリンパ管新生に重要な役割果たしていることが明らかになっていたが、本研究では腫瘍血管新生因子CCN2が支持細胞の1つである癌関連マクロファージ(tumor-associated macrophage; TAM)から産生され、リンパ管内皮細胞で発現している転写因子prox-1を始めとして、リンパ管マーカーであるpodoplanin、LYVE-1の発現誘導を介して、リンパ管新生を主導的に制御しているか明らかにすることを目的としていた。マウス初代培養リンパ管内皮細胞 (Lymphatic endothelial cell ; LEC )および血管内皮細胞(Vascular endothelial cell ; VEC)を使用して、CCN2遺伝子及びタンパク質発現量を確認したところ、VECと比較し、LECではCCN2遺伝子発現の増加を認めた。リンパ管新生制御因子としてのCCN2の重要性が示唆されたため、悪性黒色腫細胞移植モデルによるリンパ管新生関連遺伝子の組織学的検索を行なった。ATCC配給B16-F1(低転移性)および-10(高転移性)の2種類のマウス皮膚悪性黒色腫細胞株を用い、C57BL/6Jマウスの舌移植、頸部リンパ節転移モデルを作製した。腫瘍細胞移植後に舌原発腫瘍と顎下リンパ節を摘出し、免疫組織学的に原発、転移巣におけるCCN2発現有無、特にTAM周辺の発現量について確認を行ったが、両細胞による原発巣および転移リンパ節における発現差異は認められなかった。
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