研究課題/領域番号 |
17K11873
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岸本 晃治 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40243480)
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研究分担者 |
奥井 達雄 岡山大学, 大学病院, 医員 (40610928)
伊原木 聰一郎 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80549866)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | angiogenin / 血管新生作用 / N65828 / 口腔癌 / 分子標的治療 |
研究実績の概要 |
Angiogenin(ANG)は、リボヌクレアーゼ活性を有する唯一の血管新生蛋白で、血管内皮細胞のみならず癌細胞内で核に移行し、リボソームRNAの転写促進を介して腫瘍血管新生作用と同時に癌細胞自身への直接的な増殖作用を有する。ANGがその生物活性を発揮するためには、リボヌクレアーゼ活性を有することと、ANGが核に移行することが必須である。本研究では、ANGのリボヌクレアーゼ活性部位に対する小分子阻害剤N65828 [8-amino-5-(40-hydroxybiphenyl-4ylazo)naphtha-lene-2-sulfonate]の口腔癌に対する抗腫瘍効果とそのメカニズムを明らかにし、新規口腔癌治療薬としての応用・展開の可能性を検証することを目的とした。本年度は、in vitroの実験を中心に行った。 1. N65828の合成とリボヌクレアーゼ活性阻害作用の確認:N65828の受託合成はケミカルソフト開発研究所(三重)に依頼した。ANG活性はイーストtRNAに対するANGのリボヌクレアーゼ活性により測定した。しかし、受託合成したN65828では、10μMで有意なANGのリボヌクレアーゼ活性阻害作用を示すことを確認できなかった。 2. N65828の口腔癌細胞に対する増殖抑制作用の検討:N65828のHSC-2およびHSC-3細胞に対する増殖抑制作用を、MTTアッセイで測定したが、10-100μMの濃度でも有意な増殖抑制効果をin vitroで確認することができなかった。 以上のように、新規に合成したN65828は、ANGのリボヌクレアーゼ阻害活性が低く、また口腔癌細胞に対する増殖抑制作用も低く、その原因を究明中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新規に合成したN65828は、ANGのリボヌクレアーゼ阻害活性が低く、また口腔癌細胞に対する増殖抑制作用も低く、実験を次に進めることができなかった。また、その原因究明に時間を要し、実験が進まなかった。原因の1つとして、N6582が十分に溶解していなかった可能性が考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
N65828が、十分溶解し、所定の濃度になっていることを確認して実験を行う必要がある。すなわち、N65828を、0.1N-NaOH水溶液で一旦溶解して、DMSOを添加後にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で所定濃度に希釈し、さらにpH6.8のリン酸緩衝液を加えpH7.4に調整し、再度、ANGのリボヌクレアーゼ阻害活性を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規に合成したN65828は、ANGのリボヌクレアーゼ阻害活性が低く、また口腔癌細胞に対する増殖抑制作用も低く、実験を次に進めることができなかったため、次年度使用額が生じてしまった。 平成29年度にできなかったin vitroの実験に加え、平成30年度ではin vivoの実験を行う予定である。
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