研究課題/領域番号 |
17K11876
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
熊丸 渉 九州大学, 大学病院, 講師 (90432947)
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研究分担者 |
鬼丸 満穂 九州大学, 医学研究院, 助教 (00380626)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 癌転移機構 |
研究実績の概要 |
癌転移モデルとして癌細胞株をヌードマウスに移植した in vivo selection が頻用されているが、これは免疫細胞からの攻撃を反映したものではなかった。そこで、一例の口腔扁平上皮癌患者より原発巣の癌細胞株(WK2)と後発頸部リンパ節転移巣から癌細胞(WK3)と癌細胞株(WK3F)を樹立した。また、頸部リンパ節よりリンパ球と頸部の皮膚組織を保存した。そこで、本研究の目的は、リンパ節に到達した初期の癌細胞が、いかに免疫細胞の攻撃から回避して増殖し、転移を成立させるのかを解明することである。 H30年度の研究は、同一患者由来の皮膚(コントロール)と原発巣由来癌細胞株(WK2)及び転移巣由来癌細胞(WK3)の遺伝子発現を比較するためマイクロアレイ法で解析を行った。解析した遺伝子総数は50599で、Z-score ≧ 2.0 かつ ratio ≧ 5.0で選別した。 1.皮膚に対しWK2の発現が亢進していた遺伝子は184、さらにCancer related geneで検索したところ56の遺伝子を選別した。 2.皮膚に対しWK3の発現が亢進していた遺伝子は181、さらにCancer related geneで検索したところ27の遺伝子を選別した。 1と2の共通遺伝子は17で、癌関連遺伝子候補を選別した。さらにWK2に対してWK3の発現が5倍以上亢進していた遺伝子としてCSF3を選別した。G-CSF(CSF3)は、癌間質の線維芽細胞が産生し、癌細胞の増殖能・遊走能を促進するとの報告があるが、今回の結果では、癌細胞自体が発現し、転移巣の癌細胞に発現の増強を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
癌細胞クローンをヌードマウスに移植予定であったが、これまで使用していた動物実験施設の閉鎖のため、動物実験に遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
別の動物実験施設を使用して、増殖能や遊走能の異なった原発巣クローン細胞(WK2-1,2,3,4,5-GFP)を8週齢のヌードマウス(BALB/cAJcl-nu/nu)の舌に接種し、舌腫瘍形成と頸部リンパ節転移の有無を確認する。そして、転移能の差による原因遺伝子を解析する予定である。さらにリンパ球との混合培養によって生存する癌細胞の遺伝子を解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験施設の閉鎖して動物実験系の予算が未執行であったため
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