研究課題
口腔扁平上皮癌(OSCC)の顎骨浸潤は予後を左右する重要な要因である。癌細胞が周囲組織に浸潤や転移する際に、上皮間葉移行(EMT)が関与することが知られる。p130Casは細胞骨格を制御する分子で様々な癌で発現が上昇し、EMTに関与する可能性があるがその役割には不明な点が多い。in vitroでTGFβシグナルが誘導するSCC細胞の形態変化、移動・浸潤・骨破壊におけるp130Casの役割を明らかにした。手術で切除したヒトOSCCの顎骨浸潤サンプルに対してp130Cas、pSmad3抗体で免疫染色を行った。shRNAを用いてp130Casをknockdownした。 細胞をTGFβ1で処理し、phalloidin染色で細胞形態を観察した。ウエスタンブロッティング法を用いてSmad3, p-Smad3, p130Casおよびp-p130Casのタンパクを定量した。 Wound Healing assayで細胞移動能を評価した。トランスチャンバーを用いたinvasion assayで細胞浸潤能を確認した。細胞培養上清を用いてgelatin zymographyを行いMMP-9の酵素活性を評価した。8週齢雄マウスの左咬筋部に細胞を接種し、in vivoにおいてのp130Casの役割を評価した。ヒトOSCCにおいてp130Casの発現が高く活性化した細胞ではSmad3のリン酸化が亢進していた。TGFβ処理により細胞は間葉系細胞様に形態が変化したが、p130Casの発現が低下した細胞では、TGFβ刺激による細胞形態の変化が乏しく、細胞の移動と浸潤能の低下がみられ、さらにMMP-9の酵素活性の低下が認められた。また、in vivo骨破壊モデルではp130Casの発現が低いSCCⅦ細胞を接種した群では、頬骨弓の破壊が少なかった。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Carcinogenesis
巻: . ページ: .
10.1093
Bone
巻: 132 ページ: 115209
10.1016