研究課題
1)異性間での造血幹細胞移植後に口腔粘膜移植片体宿主病(graft versus host disease:GVHD)を生じ、のちにOSCCが発生した6例およびOPMD3例の性染色体解析(fluorescence in situ hybridization [FISH]とGバンド染色)を行った。また、コントロール群として移植を行っていないOSCC1例および口唇正常粘膜2例のFISHを行った。FISHにてOSCC6例中3例(男性)は、X onlyを占める割合がY containedよりも高く、ドナー由来が示唆された。これら3症例のうち2症例は遠隔転移を示し予後不良であった。移植を行っていない症例(男性)でもX onlyが13%認められた。移植を行った女性で、扁平苔癬様病変からY containedが10.7%認められた。2)OSCC14例(異性間造血幹細胞移植後、骨髄由来幹細胞から発生した2例、通常から発生した12例)の遺伝子発現のパターンをマイクロアレイで解析を行い、ドナー由来と考えられた症例で発現量が3倍以上の遺伝子でクラスタリングを行った。ドナー骨髄幹細胞由来であると考えられた2症例(3サンプル)と、移植後の発癌であるがレシピエント由来口腔扁平上皮癌と考えられた症例の遺伝子発現パターンを比較したところ、明らかに発現パターンが異なっていた。ドナー由来と考えられた3サンプルで発現量が3倍以上異なっていた遺伝子を用いて、別コホートの通常発癌14症例(移植後発癌でない症例)でクラスタリングを行ったところ、ドナー骨髄幹細胞由来であると考えられた2症例(3サンプル)と同じクラスターに含まれた症例が2症例あり、2症例とも生物学的悪性度が高く、予後が極めて不良であった。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り研究は進んでおり,ほぼ予想通りの結果が得られている.その結果は第一報として国際雑誌に発表した.
これまでの結果を基に,今後ハイスループットな方法を検討し,実際の診断に応用する準備を行っている.実際にはマイクロアレイで同定したマーカーにて組織診断後,マイクロアレイにて,ただちに発生母細胞を同定し,通常SCCか,唾液腺由来SCCか,骨髄由来の超高悪性度SCCかを決定し,手術術式,術後治療,術後サーベイランスに応用していきたい.
コロナ禍で国際学会,国内学会のほとんどが中止となり,開催されてもWEB開催であり,現地に赴く費用が発生しなかった.次年度は最終年度であり、現在得られているデータをまとめ、国際学会で発表、国際誌に発表予定である.
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すべて 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 16件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (1件)
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