研究課題/領域番号 |
17K11909
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
北畑 洋 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (60161486)
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研究分担者 |
高石 和美 徳島大学, 病院, 講師 (20325286)
川人 伸次 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任教授 (60284296)
堤 保夫 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (90523499)
藤原 茂樹 徳島大学, 病院, 助教 (90434505)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 心筋保護 / 虚血再灌流 / mTOR / rapamycin / ロイシン |
研究実績の概要 |
心血管疾患は生活習慣の変化に伴い近年急増しており,心合併症発生予防とその治療は患者予後にとって重要な因子となっている。とりわけ心疾患と食生活との関連は深く,高脂肪食摂取による血清脂質レベルの上昇,その結果誘導される肥満との因果関係が明らかにされている。しかし一方で,心疾患における栄養療法については古くから国内外ともに水分と食塩制限以外に何ら記述がなく,予防的あるいは治療的に効果的な栄養介入はまだ十分に行われていないと考えられる。 近年,申請者らはアミノ酸投与が心筋梗塞サイズを減少させ,予防的に心筋保護作用を示すことを動物モデルにおいて見出した。そこで,特にロイシンに注目し虚血前に投与することにより心筋保護作用が認められ,また,その作用がインスリンシグナル非依存的であることを明らかにするため実験を行った。 前年度に引き続き,遊離単一心筋細胞を用い低酸素再灌流モデルにて研究を行った。ロイシン刺激の細胞に対しイムノブロットを用いてシグナル経路の活性化を調べた結果,ロイシンはインスリン受容体シグナルの下流シグナルには影響を与えることはなかったが,mTORやS6Kなどのシグナル活性を誘発することが明らかとなった。 さらに,ミトコンドリア融合に関与するOpa-1の影響を明らかにするため,Opa-1 siRNAを電気穿孔法にて細胞に注入,トランスフェクションさせた細胞を用い,ロイシンの心筋保護作用がどのように変化するかを調べた。その結果,Opa-1をノックダウンさせることでロイシンの心筋保護作用が棄却されることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した研究目的に対し,平成30年度の低酸素時にミトコンドリア機能についてロイシンが与える影響に関する実験およびミトコンドリア融合に関与するOpa-1の影響に関する実験の進捗度合いはほぼ予定通りであり,おおむね順調と思われる。ミトコンドリア融合に関与する Opa-1 の影響を明らかにするため,Opa-1 siRNAを電気穿孔法にて細胞に注入,トランスフェクションさせた細胞を用い,ロイシンの心筋保護作用が棄却するかを調べた。Opa-1をノックダウンさせることでロイシンの心筋保護作用が棄却されることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,in vivo虚血再灌流実験を行うことで現在までの結果をより強固なものとする予定である。 マウスを人工呼吸下に開胸,血行動態を測定しながら,心臓冠動脈を30分間閉塞し,2時間の再灌流を行う(コントロール群)。再び冠動脈を閉塞,Evans Blueを注入し心臓を取り出す。心臓をスライスし,再染色後心筋梗塞サイズを測定する。ロイシン群は,虚血再灌流前にロイシン(200 mg/kg i.v.)によるプレコンディショニングを行う。同様の実験をmTORノックアウトマウスを用いて行うことで,ロイシンのmTORを介するシグナルへの影響が明らかとなる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ランゲンドルフ酵素法にて得られた遊離心室筋細胞を用いた虚血再灌流実験で,低酸素時にミトコンドリア機能についてロイシンが与える影響に関する実験およびミトコンドリア融合に関与するOpa-1の影響に関する実験ともに結果のばらつきが予想よりも少なく,予定していたn数よりも少なく終了したため研究費の残額が生じた。この費用は,次年度のマウスを用いたin vivo虚血再灌流実験の費用に充てる。 (計画) マウスを人工呼吸下に開胸,血行動態を測定しながら,心臓冠動脈を30分間閉塞し,2時間の再灌流を行う(コントロール群)。再び冠動脈を閉塞,Evans Blueを注入し心臓を取り出す。心臓をスライスし,再染色後心筋梗塞サイズを測定する。ロイシン群は,虚血再灌流前にロイシン(200 mg/kg i.v.)によるプレコンディショニングを行う。同様の実験をmTORノックアウトマウスを用いて行う。
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