研究課題
骨芽細胞誘導能を賦与したチタンファイバースキャホールドは自然治癒が望めないウサギ下顎区域欠損を骨性に治癒させることができる有用な顎骨再建材料であるが、スキャホールド内部の骨形成が不十分という課題も残している。この課題を改善するためにはスキャホールド深部まで確実に骨芽細胞が接着する必要があり、紫外線照射によるチタン材料の骨芽細胞接着能・誘導能の向上が有用であると考え本研究を計画し、まずチタンファイバー上への骨芽細胞の接着・機能発言の評価を検証した。直径125ミクロンのチタンファイバーからなるスキャホールドを作成、骨芽細胞の培養を行なった。スキャホールドは酸処理も行い、オリジナルのスキャホールドと酸処理スキャホールドとして、それぞれに紫外線照射の有無により播種された骨芽細胞の動態に変化が起きるかを検証した。骨芽細胞を基材に播種して24時間後に生細胞数を計測すると、紫外線処理により生細胞数は有意に増加し、その数は未処理の3倍から10倍であった。また紫外線処理群では細胞骨格の伸展が顕著に認められた。機能発現では、紫外線処理によりアルカリフォスファターゼの発現、カルシウムの分泌が2倍から15倍に増加した。特に酸処理をしたチタンファイバーに対して紫外線照射をした基材における機能発現が顕著であった。これらの結果より紫外線照射によってチタンファイバースキャホールドはより強い骨芽細胞接着能を獲得できると考えられた。
3: やや遅れている
動物実験がやや遅れている。
本研究は中型動物での実験を最終的な目標としていたが、細胞接着がチタンファイバースキャホールドの材料特性により左右されることが多く、まずはインビトロ試験で細胞接着に注力していく方針である。
前年度同様動物実験において安定しデータを採取するための実験系の確立に時間を要したため実験が十分実施できなかったため。
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International Journal of Molecular Science
巻: 21 ページ: 738
10.3390/ijms21030738