チタンファイバー製下顎再建用スキャホールドの骨組織結合能が、紫外線光によって変化があるかを検証する研究を実施した。実験は海外協力研究機関であるカリフォルニア大学ロサンゼルス校歯学部と共同で実施し、国内で動物実験を実施、インビトロ研究は渡航して実施した。インビトロ研究では紫外線照射によってスキャホールドが超親水性となり、さらには血液親性も向上することが確認された。材料表面の表面解析により炭化物が除去されたことも実証され、これにより親水性が著しく向上したものと考えられた。親水性の向上は細胞接着性の向上にも繋がり、紫外線照射をしたスキャホールドでは骨芽細胞の接着量が増加することが実証された。骨芽細胞の接着性の向上は骨結合能の向上にも寄与すると考えられ、骨結合能はラット大腿骨上に一定期間固定した標本を用いて実施した。スキャホールドと骨組織との結合強度を、骨組織とスキャホールドとの結合面に負荷を与えて、両者の結合が破断する強さを測定したところ未処理スキャホールドと比較して紫外線処理スキャホールドでは有意に骨との結合が強固であった。以上よりスキャホールドの紫外線処理のよって骨結合能も向上することが想定された。本成果を論文化され、今後外部研究資金の獲得に繋げられると考えられる。また臨床材料の開発にも寄与できるものと考えられ、下顎再建を想定したスキャホールドの強度を評価することで新規材料のデザインや作成方法などの検証がより具体化されることが期待された。
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