研究課題/領域番号 |
17K11916
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
永易 裕樹 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90265075)
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研究分担者 |
植原 治 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (00709248)
高井 理衣 北海道医療大学, 健康科学研究所, 助教 (50781085)
安彦 善裕 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90260819)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | betel quid / アレコリン / 口腔がん / SIRT1 |
研究実績の概要 |
南アジア、東南アジアにおけるbetel quidを噛む習慣は、口腔がんの原因として重要視されている。Betel quidが口腔がんを引き起こす機序として、areca nut と消石灰の副生成物であるアレコリンの発がん性と炎症惹起作用があげられているがその詳細については不明である。本年度は、アレコリンによる発がん作用の機序を解明するために、in vitroでヒト歯肉上皮前駆細胞(HGEP)にアレコリンを長期に作用させたサンプルを用いタンパクの発現変化を解析した。 HGEPはEpithelial Culture MediumにArecoline hydrobromide(Arecoline)添加および非添加を3日間毎に繰り返し、1ヶ月間培養を行った。コントロールには超純水を添加したものを用いた。これまでの結果から、アレコリン添加群でSIRT1遺伝子発現が上昇し、DNAメチル化レベルが低下することが明らかになった。今回は、培養した細胞からタンパクを抽出し、ウェスタンブロット法を用いてタンパク質の発現を確認した。その結果、アレコリン添加群でSIRT1タンパク(120 kDa)の発現が低下していた。 また、Betel quidの影響をin vivoで確認するために,スリランカのベテル噛み習慣者(BQC)および非習慣者(NC)の口腔粘膜からDNAを採取し、発がんに影響を与えると考えられるSIRT1遺伝子に対しqMSPを用いてメチル化レベルを測定した。その結果、NCと比較してBQCから得られたSIRT1遺伝子は、プロモーター領域のDNAメチル化レベルが上昇していた。 以上のことから噛みたばに含まれるアレコリンは癌抑制遺伝子であるSIRT1 遺伝子のプロモーター領域をメチル化することによって発現を制御し、betel quidを噛む習慣のある人々の口腔がんの原因となることが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している理由としては、細胞の長期培養とin vivoサンプルを用いた解析が順調に進んだことが挙げられる。実験の方向性も順当に進行している状況であるため、引き続き研究を追行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、スリランカのベテル噛み習慣者(BQC)および非習慣者(NC)の口腔内から採取したサンプルを用いてオーラルフローラの解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
オーラルフローラ解析に関わる費用を翌年度分として請求したため。
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