研究実績の概要 |
昭和大学病院脳神経外科で内頸動脈狭窄症により内頸動脈剥離術(CEA)を施行する症例で、昭和大学病院歯科を受診して、周術期口腔機能管理を行い、本研究に 参加同意が得られた患者を対象とした。CEAを施行して摘出された、内頸動脈プラークと周術期口腔機能管理時に歯科用スケーラーなどで、歯の周辺の口腔内プ ラークのサンプル回収された55例に実験を行った。対象症例の平均年齢は、72.5歳で男女比は3:1で男性が多かった。平均欠損歯は7.2歯で、う蝕処置歯は8.3 で、5mm以上の歯周ポケットは0.5歯であった。16SrRNA-RCRにて14例(25%)が陽性、擬陽性が4例(7%)であった。 次世代シークエンサーでのメタゲノム解析を5例 行い、Streptococcus, Actinomyces属が内頸動脈プラークと口腔内プラークから共通に認められた。共通の細菌属が認められた症例は、既往歴では高血圧症・ 脳梗塞が多く、生活習慣で喫煙者が多く認められた。う蝕処置が平均13.4歯であった。現在も次世代シークエン サーでのメタゲノム解析を行なった。頸動脈プラークは55科78属、口腔内プラークは39科57属の細菌を認めた。頸動脈プラークの細菌の86.5%が口腔内プラークからも検出された。口腔内プラーク・頸動脈 プラークの両群ともに Streptococcus, Actinomyces. Corynebacterium属を多く認めた。従来の研究では歯周病菌を認める報告があったが、今回は歯周病菌と 比較するとう蝕原因菌の方が高い検出率を占めた。頸動脈におけるアテローム形成と口腔内細菌の関与が示唆された。
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