研究課題/領域番号 |
17K11921
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
生木 俊輔 日本大学, 歯学部, 講師 (70386077)
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研究分担者 |
米原 啓之 日本大学, 歯学部, 教授 (00251299)
古川 明彦 日本大学, 歯学部, 専修医 (00731738)
岩田 潤 日本大学, 歯学部, 助教 (20757629)
本田 和也 日本大学, 歯学部, 教授 (30199567)
山岡 大 日本大学, 歯学部, 准教授 (60182408)
秀 真理子 日本大学, 歯学部, 助教 (70409100)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 軟骨 / 骨化 / micro-CT |
研究実績の概要 |
目的・背景:再生医療技術の進歩により各種移植材料が開発されているが、未だ構造体としての骨組織は完成しておらず再建材料として用いることはできない。一方近年、再生医療の進歩により培養軟骨が開発された。一定の条件下において軟骨の骨化を行うことが可能であれば、軟骨の骨化により硬組織の再建材料を得ることが可能となる。この培養軟骨を利用して軟骨の骨化を促進することで顎骨および歯槽骨再建材料として臨床応用するため研究を企図した。我々が今まで行ってきた骨膜からの骨再生や、α-TCP等の人工骨の研究成果を応用して軟骨が骨化するための条件を検討し、顎骨および歯槽骨再建に応用できる再建材料の開発を目指す。軟骨の骨化が意図的に可能となれば、ごく少量の自家軟骨を採取して軟骨を培養し、培養した軟骨を顎骨に移植することで最小限の侵襲で十分な必要量を確保できる上、安全な自家(軟)骨移植が可能となる。軟骨が骨化する過程を観察する。また、軟骨に骨化の起点となる人工材料を検討することで骨化の速度を促進できるかを観察する。これらは放射線学的に観察した。研究方法:上顎まに切開を加え骨膜を剥離し骨面を露出させ、骨膜剥離後の骨表面にラット肋骨より採取した軟骨を細片状にしたものを挿入したモデルを作製した。軟骨単体、軟骨+足場素材であるピュアマトリックス、真皮のモデルを作製した。手術後2週目、4週目、6週目、12週目および24週目でmicro-CTおよび軟X線撮影を行った。成績:micro-CTによる観察の結果、軟骨単体のモデルは不透過性が増加し骨化していることが予想された。軟骨+ピュアマトリックスは、軟骨が散在しピュアマトリックスピュアマトリックスが軟骨間に介在しているため骨化を妨げていることが予想された。真皮は変化がなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度の研究計画・方法では軟骨の骨への変化に対する検討を行う予定であった。その内容軟骨挿入により新生骨の再生スピードの変化や、軟骨の骨置換性を経時的に観察する。さらに、血管柄付き骨膜内に人工骨(α-TCP)のみを移植したモデル,軟骨+人工骨(α-TCP)移植したモデルを作製し新生骨の再生について観察する。また、顎または下顎骨に切開を加え骨膜を剥離し骨面を露出させる。骨膜剥離後の骨表面にラット耳介および肋骨より採取した軟骨を細片状にしたものを挿入したモデル、人工骨(α-TCP)のみを移植したモデル,軟骨+人工骨(α-TCP)移植したモデルを作製する。その後、皮弁を骨膜を付与したまま旧位に覆した後,縫合して終了とする。その後、手術後2週目、4週目、6週目、12週目および24週目でmicro-CTおよび軟X線撮影を行い,その後組織標本の作製し、観察時期で同様の検討を行う予定であった。足場素材として安全性が既に示されている、α-TCP、HA、コラーゲン等を用いて、より生体親和性が良好で強度や可塑性に優れた材料を検討して、軟骨再生足場素材として有効性について検討を行った。コラーゲンであるピュアマトリックスを足場素材として用いたが、足場素材として有効ではなく軟骨間にピュアマトリックスが存在することで、軟骨の骨化を妨げていることが予想された。その他、真皮を対照群として用いたが、micro-CTでは術前から存在を確認できず、術後経過においても骨化の傾向は見られなかった。 現時点で、組織切片を作製依頼中であり、組織切片の分析が行えていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、軟骨モデル、軟骨+ピュアマトリックスモデル、真皮モデルの組織切片を作製し分析を行う。また、足場素材としてα-TCPやHAを用いて上記実験モデルのラットを作製し、生体親和性が良好で強度や可塑性に優れた材料を検討して、軟骨再生足場素材として有効性について検討を行う。 さらに29年度に作製した再生軟骨を人工材料に播種した検体を実験動物に移植する。この移植した検体において、どの様な条件において軟骨の骨化が生じるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通り経費を使用したところ端数が生じた。 次年度使用額と新年度助成金を合わせて軟骨モデル、軟骨+ピュアマトリックスモデル、真皮モデルの組織切片を作製し分析を行う。また、足場素材としてα-TCPやHAを用いて上記実験モデルのラットを作製し、生体親和性が良好で強度や可塑性に優れた材料を検討して、軟骨再生足場素材として有効性について検討を行う。
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