研究課題/領域番号 |
17K11931
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮下 俊郎 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (50746980)
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研究分担者 |
山本 照子 東北大学, 歯学研究科, 名誉教授 (00127250)
井田 裕人 東北大学, 大学病院, 医員 (20746979)
清流 正弘 東北大学, 歯学研究科, 助教 (80510023)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 生体材料 / 歯科矯正用アンカースクリュー |
研究実績の概要 |
本研究では、チタン製歯科矯正用アンカースクリュー の有する種々の問題を解決しうる可能性を秘めたZr基系金属ガラス製歯科矯正用アンカースクリューの開発、さらに骨とZr基金属ガラスとの結合の分子メカニズムの解明を目指す。平成30年度は、Zr基金属ガラスの母合金を自動アーク溶解炉において作製後、アーク傾動鋳造法により棒状のZr基金属ガラスを作成し引張試験を行った。また、Zr基金属ガラス、純チタンおよびチタン合金の耐食性を解析するため 、アノード分極試験およびイオン溶出試験を行った。アノード分極試験では分極試験では0.1mol-1NaClと10gL-1乳酸の混合水溶液でできた試験溶液を用い、参照極に飽和カロメル電極、対極に白金を接続し、10minの開回路電位測定の後に+1mVs-1の電位走査速度で分極を行った。イオン溶出試験ではアノード分極試験と同様の試験溶液を20ml入れたボトルに試料を浸漬後、310Kの恒温チャンバー内で7日間静置し、溶液から試料を回収後、誘導結合プラズマ発光分析装;置で溶液中の金属イオン濃度を測定し、溶出量を算出した。その結果、Zr基金属ガラスは純チタンと比較して引張強さが高く、低弾性率であることが示され、金属ガラスは他の金属材料では見られない極めて大きな2.2%もの弾性を有していることが判明した。アノード分極試験ではZr基金属ガラスは明確な不動態域を示し、不動態皮膜は安定していた。イオン溶出試験では、純チタンからチタン、チタン合金からはチタン、アルミニウムおよびバナジウムの金属イオン溶出が認められたことに対し、Zr基金属ガラスからはほぼイオン溶出しないことが判明した。金属ガラスは不動態皮膜の安定性が高く、高耐食性であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度までに、Zr基金属ガラスの表面性状解析、機械的特性試験、耐食性試験をほぼ終了し、良好な結果を得ることができた。また、平成31年度実施予定のラットを用いたインプラントの埋入実験もすでに開始しており、おおむね予定通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、ラットを用いたインプラントの埋入実験を実施し、撤去トルク値、引っ張り試験、動揺度測定を行い、インプラントの安定性を評価する予定である。また、組織切片による骨形態計測および CT による3次元解析を行い、スクリュー周囲の骨形成速度を評価する。さらに、金属ガラスとチタンの細胞親和性を比較評価するため、箔上における骨髄間葉系細胞の接着能、増殖能の解析を行う予定である。以上の研究を実施し、Zr基金属ガラスの表面性状、機械的性質、細胞の接着能、増殖能の解析、骨内安定性と新生骨形成能、生体安全性について総合的に評価する。
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