研究課題
令和元年度は、ラット脛骨への金属ガラス製およびチタン製インプラントの埋入実験を実施し、撤去トルク値、引っ張り試験、動揺度測定を行い、インプラントの安定性の評価を行った。また、組織切片による骨形態計測を行い、スクリュー周囲の骨形成速度を評価した。さらに、金属ガラスとチタンの細胞親和性を比較評価するため、箔上における骨髄間葉系細胞の接着能、増殖能の解析を行った。埋入トルク値については、金属ガラス製インプラントと純チタン製インプラントは同程度の値を示した。埋入直後に計測した撤去トルク値は、金属ガラス製インプラントと純チタン製インプラントは同程度の値を示した。埋入7日後、埋入28日後における撤去トルク値は、金属ガラス製インプラントは純チタン製インプラントよりも有意に高かった。金属ガラス製スクリューの引張り強さは最も大きく、純チタン製スクリューより有意に高い値であった。埋入直後の動揺度は、金属ガラス製インプラントと純チタン製インプラントに有意差は認められなかった。埋入7日後、28日と経時的に、2種類のインプラントはともに数値の減少を示し、安定性は高くなった。金属ガラス製インプラントの数値は、純チタン製インプラントと比較して顕著な減少を示し、純チタン製インプラントよりも安定性は有意に向上した。また、組織学的評価において、金属ガラス製スクリューは純チタン製スクリューと比較して多くの新生骨形成が確認でき、BICとBAは金属ガラス製スクリューが有意に高かった。さらに、金属ガラスは純チタンと同等に骨髄間葉細胞が接着・増殖できる生体親和性材料であることが示された。骨髄間葉細胞は金属ガラス上で骨分化能を有することも示唆された。以上の結果から、金属ガラスインプラントは生体材料として有用であることが明らかとなった。
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