研究課題/領域番号 |
17K11942
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
寺尾 文恵 九州大学, 歯学研究院, 助教 (10510018)
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研究分担者 |
高橋 一郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (70241643)
春山 直人 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (70359529)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 軟骨分化 |
研究実績の概要 |
本研究では、マウス四肢胚由来細胞と下顎頭由来細胞を用いて、機械的刺激負荷条件下におけるガレクチン3の発現の変化とその機械的刺激応答のメカニズムを解明することにより、一次・二次軟骨におけるガレクチン3の機械的刺激負荷応答の相違について解析することにより、二次軟骨特異的な軟骨分化制御機構の存在を探求することを目指す。 ガレクチン3の下顎頭由来細胞における役割について、細胞増殖に与える影響について、前年度に加えて検討を行った。下顎頭原基由来細胞の単層培養にガレクチン3ヒトリコンビナントタンパクを添加し、24、48時間後に細胞増殖について検討を行った。ガレクチン3の添加による細胞増殖の変化は認められなかったのに対し、同時に行ったガレクチン3のsiRNAによるノックダウンにより、48時間後で細胞増殖が優位に減少した。これは、ガレクチン3の役割が、外因性および内因性で異なることを示唆する。 下顎頭原基由来細胞へ機械的伸展刺激に関しては、平成30年度では伸展力負荷30、60分後における検討のみであったが、より短い時間における変化について経時的な変化を見るため、5、15分後を追加してさらに検討した。ガレクチン3タンパクの発現について、負荷5分後では伸展力負荷による優位な差は認められず、15分後にやや上昇傾向がみられ、30分でピークを迎え、60分後には発現が対照群と変わらないレベルにまで低下した。一方で、伸展刺激により上昇することが知られるERKシグナルは5分後から活性が認められた。ガレクチン3は機械的刺激に対し、比較的ゆっくり反応することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
機械的刺激負荷条件下において、ガレクチン3タンパク発現の上昇について、より詳細な経時変化を検討するため、前年度より短いタイムポイントを含めた機械的伸展刺激の負荷におけるガレクチン3発現の変化と様々なシグナル伝達経路の解析を行ったため、進捗状況はやや遅れている。siRNAによるガレクチン3のノックダウン条件下における伸展刺激負荷実験は実験データを収集はほぼ終了しており、近くデータ解析予定である。また、一次軟骨との比較実験については、2019年度中に行うこととなり、進捗状況はやや遅れているが、マウス胎仔四肢胚からの細胞採取は、下顎頭原基由来細胞の採取に比べて用意であり、大きくは遅れていないと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度に収集した、ガレクチン3のsiRNAの導入後、ガレクチン3発現抑制下における機械的伸展刺激負荷を行ったサンプルの解析を行い、FAKやAktシグナルの活性化の変化を調べる。同時に、RGDペプチドによりインテグリン阻害条件下での機械的刺激負荷によるシグナルの活性化について検討を行う。 siRNA導入によるガレクチン3ノックダウンをリコンビナントタンパク添加によりレスキューする実験については、ガレクチン3の役割が、外因性および内因性で異なることを示唆する結果が出たため中止し、インテグリン阻害下における機械的刺激負荷時のガレクチン3の発現、軟骨分化マーカー遺伝子発現や関連するシグナル伝達経路の活性化について、経時的変化を詳細に検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度、抗体やリコンビナントタンパク購入金額が予想より多かったため、購入予定であった滑走式ミクロトームの購入が不可能となった。ミクロトームの購入を見送り、さらに追加して購入する必要のある抗体(JNK/SAPK、PI3K、インテグリン関連)購入に使用する予定である。
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