研究課題
歯根発生に関するメカニズムの理解は、歯冠形成に比べて研究報告も少なく、明らかに立ち遅れている。本申請課題研究者は先天性疾患の原因遺伝子が健常集団においてもその遺伝的役割を担い形質に関与することを明らかにした。また、顎顔面形態など集団間における形質出現の頻度差といった集団遺伝学的視点が、候補遺伝子の絞り込みに有用であることも立証した。遺伝因子の解明は歯根吸収の病態理解や歯牙の再生に寄与する。本申請課題では歯根長、下顎第一大臼歯の3根性、上顎第一小臼歯の単根性など歯根に関連した形質について、先天性疾患の表現型を手掛かりとした候補遺伝子関連解析により遺伝因子を解明することを目的とした。GHR遺伝子(Growth hormone receptor gene:GHR)の変異はラロン症候群と特発性低身長症をもたらす。ラロン症候群患者に対するinsulin-like growth factor I投与治療により特に若年者において歯の成熟を促進することが認められている。特発性低身長症において成長ホルモンと歯牙年齢とは関連していないとされているが、歯の萌出と成熟のタイミングと成長ホルモンの分泌とが関連するという報告がなされている。そこで本研究は日本人集団における歯牙長と成長ホルモン受容体遺伝子多型との関連を検討した。上顎側切歯歯根長、上顎犬歯歯根長・歯牙長、下顎側切歯歯根長においてrs6184と有意な関連が認められた(P<.05)。rs6180はいずれの計測項目とも有意な関連を認めなかった。日本人集団においてGHR遺伝子多型(rs6184)と歯牙の長さとの関連が示唆された。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 7件、 査読あり 10件)
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