研究課題/領域番号 |
17K11950
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
菊入 崇 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10322819)
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研究分担者 |
吉村 善隆 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (30230816)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯学 / 歯牙腫 |
研究実績の概要 |
SATB2(Special AT-rich sequence-binding protein 2)は、転写調節やクロマチンリモデリングの際、核マトリックス結合領域のATリッチ配列と結合する核タンパク質である。SATB2の変異によって引き起こされるSATB2関連症候群(Glass 症候群、2q33.1 欠失/微細欠失/変異)は、重度の神経発達障害、発達性言語障害を含む発語遅延、粗大・微細運動技能、認知遅延もしくは自閉症などの行動障害の他、口腔内には口蓋裂や歯の形態異常が生じることが報告されている。本研究申請者らは、大臼歯の歯根分岐部に歯牙腫が多発している症例に対して、全ゲノムde novoシーケンンス解析を行い、原因がSATB2の変異であることを明らかにした。SATB2は、神経芽細胞分化の他に、骨芽細胞分化および頭蓋顔面形成において重要な役割を果たしていることが報告されているが、歯の発生におけるSATB2の発現と分布はほとんど知られていない。そこで免疫組織化学を用いて、マウスの臼歯の形成過程におけるSATB2の発現および分布について検討を行った。SATB2の発現は、胚発生後期から出生後に至るまで、象牙芽細胞、ヘルトウィッヒ上皮鞘 、歯髄細胞の一部に特有な発現パターンを示した。これらの知見は、SATB2変異を有する患者が歯牙腫の発生の他に、歯の形態異常、象牙質の構造異常を有していることから、SATB2が歯の発達において重要な役割を果たしている可能性があることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿って順調に研究が進んでいる。SATB2が歯の発達において重要な役割を果たしているという、新しい知見が得られており、今年度の実験を継続することでさらなる成果を上げられる可能性があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き平成30年度の実験の継続と、追加の新たな実験の実施と解析データの取りまとめを行う予定である。また、in vitro系の実験において誘導実験を行い、各種幹細胞マーカーの発現、分化能の評価を行い予定である。さらに、学会発表および論文の投稿準備をすすめ、論文発表を完了する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品費においてキャンペーン品や特別価格などがあり、当初予定額より支出が抑えられ、経費の節約ができ、次年度使用額が生じた。未使用額337,841円については、平成31年度の実験のための消耗品費に使用する。
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