研究課題
本申請研究では、ミティス群口腔連鎖球菌が産生する過酸化水素が、アレルギー反応を引き起こすマスト細胞に細胞死を誘導することを見出し、さらにマウス花粉症モデルにおいても菌由来の過酸化水素が花粉投与によるアレルギー応答を抑制することを明らかにすることができた.昨年度、これらの結果を論文にまとめて投稿したが、エディターと雑誌編集部の不手際で投稿論文が審査に回らず1年近く放置されていたことが判明し、やむを得ず、繰り越し申請を行って、本研究費の残額を改めて追加実験費用及び論文掲載料に充当することにした.本年度は、この論文原稿を書き直して別の雑誌に投稿し、審査員のコメントを受けていくつかの追加実験を行った.蛍光標識アネキシンVでアポトーシス細胞を特異的に検出する実験系を利用して細胞死の経時的変化を観察したところ、初期段階では、過酸化水素で処理した細胞に対するアネキシンVの結合は見られず、菌由来の過酸化水素による細胞死は1次的にはアポトーシスではないことが明確であった.しかしながら、時間経過とともにアネキシンV陽性の細胞が次第に見られるようになり、この細胞死のメカニズムが決して単純なものではないということも同時に示された.これらの結果を追加して本研究の論文はようやく掲載の運びとなった.その後の研究費残額では十分な実験は行えず、特筆すべき新知見を得ることはできなかったが、これはやむを得ないことであると考えている.
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