研究課題/領域番号 |
17K11960
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤川 順司 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (40760377)
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研究分担者 |
秋山 茂久 大阪大学, 歯学部附属病院, 准教授 (00283797)
村上 旬平 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70362689)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 骨系統疾患 / 自然発症 |
研究実績の概要 |
骨格系は力学的な支柱としてのみならず内部臓器の保護、筋肉の起始・停止、骨髄における造血、ホルモン産生器官としてなど様々な役割をもつ重要な器官系である。以前より遺伝性に肋骨癒合ならびに口蓋裂を示すモデルマウスを野生型マウスコロニーから独自に見出しており、このモデルマウス系統の骨格表現型はヒトの脊椎胸郭異骨症に酷似するも、脊椎癒合の程度が軽度なことや口蓋裂が常に見られるなど特異な表現型も認められた。これら表現系の原因遺伝子を特定することが、正常な骨格系の形成解明の一助となると考え研究を開始した。まずはエクソーム解析において2個体のFused Rib両アレルには見られるが正常個体では見られない変異を見出し、エクソーム解析で5か所の特に変異がFused Ribマウス2個体で集中しているゲノム領域の中で、変異による翻訳産物の異常の度合いが高くなる遺伝子を選び出した。これらの遺伝子を挟むようプライマーを設計し、PCRによる増幅を行った。また、期待するサイズの断片が増幅されていることを電気泳動にて確認し、ゲルからバンドを精製、ダイレクトシーケンシングにより精製したDNAの塩基配列を確認した。変異の見られる部位をFused Rib表現型を示すマウス8個体、野生型表現型を示す4個体で上記のように解析したが、Fused Rib表現型個体すべてでホモの変異が見られるものはなかった。ただし、3番染色体に存在する遺伝子は4個体だけにヘテロの変異が見られ、原因遺伝子の変異に近い領域にあることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
エクソーム解析によりまず絞り込んだ遺伝子(Lrrc31、Myo18b、Usp48、Gm13030など)のプライマーを設計し、Fused Rib表現型を示すマウスならびに野生型マウス表現型を示すマウスを用い解析したが、Fused Rib表現型を示すマウスにおいて多少の差はあるがヘテロの変異を認め、原因遺伝子の絞込みの精度を高めることに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
絞り込んだ遺伝子を野生型マウス胎児ホールマウント(9.0、9.5日齢)、野生型マウス胎児頭部組織切片(13.5、14.5日齢)でin situ hybridization法による遺伝子発現解析を行う。同時に骨格系以外の器官における発現も検出する。これらにより特定された因子を含むBACトランスジェニックマウスを作成し、交配による表現型のレスキュー実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
候補遺伝子の絞り込みに予想以上に時間を要し、モデルマウス作成まで遂行できなかった。今年度研究を遂行するにあたり、当初の今年度研究実施計画まで進めることで助成金を計画通りに使用していく。
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