研究課題/領域番号 |
17K11968
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
牧 憲司 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60209400)
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研究分担者 |
松原 琢磨 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (00423137)
古株 彰一郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (30448899)
青木 和広 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40272603)
自見 英治郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (40276598)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 破骨細胞 / 破骨細胞 / Bax相互作用因子 / Bif-1欠損マウス |
研究実績の概要 |
[研究目的] 骨組織における生体恒常性は、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成を介して維持されている。しかし破骨細胞や骨芽細胞の働きには不明な点が多く骨恒常性における新たな因子の検索を目的とした。 [方法・結果] アポトーシスやオートファジーに関与するBax相互作用因子(Bif-1/Endophilin B1/SH3GLB1)が骨芽細胞で発現し、また破骨細胞の形成に伴い発現が上昇することを確認した。Bif-1が骨芽細胞及び破骨細胞を介して骨恒常性の調節に何らかの関わりがある可能性を見出した。次に、Bif-1欠損マウスの大腿骨を骨形態計測によって骨表現型を調べたところ野生型マウスと比較して海綿骨梁を中心に骨体積が増加していることが分かった。しかし切片を用いた組織形態計測分析に於いて、破骨細胞数、骨表面における浸食面の増加を認め、破骨細胞性骨吸収は破骨細胞数の増加により増強されることが示された。Bif-1欠損マウスで骨量が増加していることから、骨芽細胞による骨形成の影響を調べたところ骨表面における石灰化速度、形成面が増加していることが分かった。次にin vitroでBif-1の欠乏が破骨細胞形成及び破骨細胞性骨吸収に与える影響を検討した。野生型マウスとBif-1欠損マウス由来の骨髄細胞をM-CSF、RANKLを用いて破骨細胞へ分化誘導し比較したところ、Bif-1欠損マウスで破骨細胞形成が加速されたが、NF-κBおよび細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)の活性化には特に差がなかった。また、破骨細胞前駆細胞におけるCD115/RANK活性にも野生型マウスの結果と類似していた。次に野生型およびBif-1欠損マウスにおける骨芽細胞分化をβ-グリセロリン酸およびアスコルビン酸によって刺激、誘導によりBif-1由来の骨芽細胞の方が破骨細胞、石灰化機能およびコロニー形成能において増強された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アポトーシスやオートファジーに関与するBax相互作用因子(Bif-1/Endophilin B1/SH3GLB1)が骨芽細胞で発現し、また破骨細胞の形成に伴い発現が上昇することを確認した。Bif-1が骨芽細胞及び破骨細胞を介して骨恒常性の調節に何らかの関わりがある可能性を見出した。次に、Bif-1欠損マウスの大腿骨を骨形態計測によって骨表現型を調べたところ野生型マウスと比較して海綿骨梁を中心に骨体積が増加していることが分かった。しかし切片を用いた組織形態計測分析に於いて、破骨細胞数、骨表面における浸食面の増加を認め、破骨細胞性骨吸収は破骨細胞数の増加により増強されることが示された。Bif-1欠損マウスで骨量が増加していることから、骨芽細胞による骨形成の影響を調べたところ骨表面における石灰化速度、形成面が増加していることが分かった。次にin vitroでBif-1の欠乏が破骨細胞形成及び破骨細胞性骨吸収に与える影響を検討した。野生型マウスとBif-1欠損マウス由来の骨髄細胞をM-CSF、RANKLを用いて破骨細胞へ分化誘導し比較したところ、Bif-1欠損マウスで破骨細胞形成が加速されたが、NF-κBおよび細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)の活性化には特に差がなかった。また、破骨細胞前駆細胞におけるCD115/RANK活性にも野生型マウスの結果と類似していた。次に野生型およびBif-1欠損マウスにおける骨芽細胞分化をβ-グリセロリン酸およびアスコルビン酸によって刺激、誘導によりBif-1由来の骨芽細胞の方が破骨細胞、石灰化機能およびコロニー形成能において増強された。
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今後の研究の推進方策 |
これらの結果からBif-1欠損マウスでは骨吸収よりも骨形成の増加した、高い骨の代謝回転による骨体積および骨密度の増加を同定した。 以上よりBif-1が骨吸収および骨形成を調節する詳細な機序の同定は、骨疾患の治療のための薬の開発を促進する可能性が示唆された。
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次年度使用額が生じた理由 |
Bif-1欠損マウスの大腿骨をμCT、pQCT撮影し、骨形態計測によって骨表現型を調べたところ野生型マウスと比較して追加実験を行う。
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