研究課題/領域番号 |
17K11972
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
南 綾 東京医科大学, 医学部, 兼任助教 (60549921)
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研究分担者 |
古賀 陽子 東京医科大学, 医学部, 講師 (10392408)
近津 大地 東京医科大学, 医学部, 教授 (30343122)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 上顎骨延長 / モニタリングシステム |
研究実績の概要 |
【目的】研究代表者らはこれまでに上顎骨延長法システムを用いた臨床研究を行ってきた。しかし、治療過程においてリアルタイムで上顎骨を評価できる方法がなく、患者に随時、側面頭部エックス線写真の撮影を余儀なくしている。そこで、反対咬合を呈する小児患者において高精度超音波距離測定装置を応用し、上顎骨前方牽引直後の位置をリアルタイムで計測するシステムを開発することを目指す。本研究は、牽引力や方向などの上顎骨移動様相への影響を検討するモニタリングシステムを開発し、チェアーサイドで牽引の効果などを随時判定することを可能にし、側面頭部エックス線写真の撮影を頻回にすることなく保定に移行する時期を的確に判断することで後戻りの減少を図り、さらに、患者の被爆量を軽減することを目的としている。【方法・結果】1.上顎骨前方牽引装置モニタリングシステムの開発;人体近似性の高いPVA素材のファントムモデルを用いて上顎骨前方牽引装置装着中のモニタリングに必要な上顎骨の移動様相をダイレクトかつリアルタイムに解析・記録するシステムの基礎的な設定や、計測誤差について調査し、研究し、現在、装置開発に向けてキーエンス社と連携し作製段階まできた。当初高精度超音波センサを用いるはずであったが、研究段階においてレーザーの方が安定性および操作性に優れていたためレーザーでの作製を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
装置の開発に至るまでの基礎的な設定、設計、高精度超音波やレーザーの比較など、初期の時点で予想以上に詳細な部分で時間を大幅に要した。そのため、当初の計画であった上顎骨前方牽引装置モニタリングシステムの開発の完成まで行えていない。
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今後の研究の推進方策 |
1、これまでに進んでいる部分を完成に向かわさせ、上顎骨前方牽引装置モニタリングシステムの開発を下記の要領で確立する。①ファントムモデルの口腔内には上顎両側第一大臼歯にバンドを設置し、当分野臨床で行っている急速拡大装置またはリンガルアーチを装着する。②ファントムモデルの頭部に上顎骨前方牽引装置(フェイスマスク)を固定し、張力センサを介してフェイスマスクと口腔内のリンガルアーチを接続する。③フェイスマスクの正中軸にレーザーセンサを設置し、中顔面から上唇にかけての変位をモニタリングするための設定および計測範囲を検討する。計測範囲の予測としては軟組織ナジオン(鼻根部)から上唇下縁にかけてであるが、装置の仕様により、一定範囲の設定に工夫が必要であると考えられ、場合により高精度超音波装置の小型化を図る。④フェイスマスク及び口腔内装置間に装着したエラスティックスの上顎骨牽引力の活性化の量、方向、牽引量の左右差等の要素を変化させた際に上顎骨にかかる牽引力-移動様相のモニタリングのシュミレーションを行う。ファントームでの牽引では、実際の軟組織をまとった上顎骨の移動様相は再現が難しいことが予測されるため、移動様相の解析には注意を要す。臨床で予測される移動が観察される場合には、軟組織を想定した加重を掛ける工夫が必要である。また、複数回計測を行った際、各々の計測値は比較可能かを検討することも考慮に入れる。 2、上中顔面表層モニタリングシステムの臨床応用 平成29年度にファントムモデルにて確立したモニタリングシステムの臨床応用を行う。臨床応用に際し、ヒトを対象とした研究のため、現在、東京医科大学医学倫理審査委員会に申請中である。対象患者は、骨格性反対咬合(上顎裂成長)と診断され、上顎骨の発育がある成長期の患者とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた通りに高精度超音波センサの設定、設計が進まず難渋した。そのため研究に遅れが生じ次年度使用額が生じた。次年度の装置の完成に向けて使用する予定である。
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