研究課題/領域番号 |
17K11977
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
成山 明具美 鶴見大学, 歯学部, 助教 (90440304)
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研究分担者 |
朝田 芳信 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20184145)
和田 悟史 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20581119)
大貫 芳樹 鶴見大学, 歯学部, 講師 (50288114)
奥村 敏 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60233475)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 咀嚼筋 / MITF |
研究実績の概要 |
咀嚼筋の発育不全は咬合異常や顎運動機能の低下を招くことが知られている。咬合異常や顎運動の機能低下は、認知機能の低下や生後発達期のさまざまな器官 の形成に影響を及ぼす可能性がある。 近年、MITFは、さまざまな細胞や組織に存在し、細胞の増殖、分化、生存、エネルギー代謝などにおいて重要な役割を果たしていることが明らかになってきている。心筋では、MITF が慢性カテコラミン刺激による心肥大および線維化、アポトーシスの発症過程に重要であることが報告されているが、咬筋などの骨格筋における生理機能については不明である。そこで、今回我々は、mitf遺伝子変異型マウス(mi/mi)を用いて、咬筋の萎縮、線維化、アポトーシスなどの組織リモデリングおよびオートファジーに対するmitf変異の影響について解析した。 組織学的解析によりmi/mi咬筋では、WTと比較して筋線維横断面積の減少および線維化領域とアポトーシスの増加がみとめられた。また、オートファジー抑制因子であるAktおよびmTORのリン酸化レベルは、WTと比較し、mi/mi咬筋では有意に増加した。一方、オートファジー促進因子であるp62のリン酸化レベルはWTと比較し、mi/mi では有意に減少した。加えて、p62はWTと比較し、mi/mi では有意に増加した。以上の結果から、mitf変異がオートファジー機能を抑制することにより、咬筋の組織リモデリングを誘導することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成29年度の初めでは、実験は順調に進行していたが、平成29年度途中で、研究代表者が妊娠中の体調不良や産休を取得していたことで実験計画の遅れが平成30年度にそのまま影響し、当初の計画より遅れている。研究は再開できているが、他の業務との兼ね合いや新型コロナウイルスによる在宅勤務で研究活動が思うようにできず、研究は遅れ気味となっている。
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今後の研究の推進方策 |
咬筋の萎縮、線維化、アポトーシスに関連するシグナル因子の活性化レベルについての詳細な解析やオートファジーや酸化ストレスレベルについての解析を行い、論文等で成果報告を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に研究代表者の産休、また妊娠中の体調不良により当初の実験計画が遅れてしまい、今年度の実験計画が遅れている。そのために、当初の実験計画で当該年度に購入予定であった物品を購入していないため、次年度使用額が生じた。 使用計画としては、咬筋などの骨格筋における萎縮、線維化、アポトーシスに関連するシグナル因子の活性化レベル、オートファジー機構、酸化ストレスレベルについて解析する実験を計画しているため、次年度使用額は、Western Blottingや免疫組織染色用の試薬および抗体の購入費として使用する予定である。
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