研究課題/領域番号 |
17K11978
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
菅谷 勉 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (10211301)
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研究分担者 |
本郷 裕美 北海道大学, 歯学研究院, 学術研究員 (00778970)
佐藤 賢人 北海道大学, 大学病院, 医員 (80784917) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高周波電流 / 骨再生 / Duty |
研究実績の概要 |
ラット頭蓋骨にΦ5㎜の骨欠損を作製し、520 kHzの高周波電流を、Duty比10、30、70%として、5秒間通電した。通電は骨欠損作製後0、4、7、11日目に行った。8週後、マイクロCT及び組織計測により骨再生率を計測した。高周波電流を通電していないコントロールの骨再生率は約12%であったのに対し、通電した場合は24~45%の骨再生率を示し、いずれのDuty比でもコントロールより有意に高い値であった。その再生率はDuty比によって大きな差はなく、骨再生におよぼすDuty比の影響は小さいと考えられた。組織学的所見として、骨再生が母床骨の辺縁から連続的に生じるだけでなく、骨欠損の中央部の結合組織内からも生じている標本が多数みられたこと、リモデリングの痕跡がなくモデリングのみが進んでいると考えられたことから、通常の骨再生とは異なるメカニズムが生じている可能性が示唆された。 次に、同様の骨欠損を作製して、高周波電流を520 kHz、Duty比70%として5秒間通電した。通電時期は骨欠損作製後、①0、4、7、11日目、②7,11,14,18日目、③14,18,21,25日目とした。8週後にマイクロCTで骨再生率を計測した。その結果、骨再生率は①が最も高かった。骨再生が骨欠損の中央部から生じたり、リモデリングの痕跡がみられないという組織所見は、前述の実験と同様であった。 上記2つの実験で、高周波電流通電時の実効電流値をオシロスコープで計測した結果、8-40mAと個体によってばらつきがみられたが、骨再生率との関連性はみられず、この範囲であればいずれの電流値でも同様に骨再生が生じると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
H29年度の予定は、高周波電流のDuty比と実効電流値、および刺激時期が骨再生にどのように影響するかを明らかにすることであったが、これらの課題はすべて解明されたことに加え、骨再生が従来のメカニズムと異なる可能性が示唆されるなど、新たな知見も得られていることから、本研究はきわめて順調に進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
H30年度の研究は、当初の計画通り検討をすすめ、母床骨周囲の骨芽細胞や骨髄由来細胞、骨膜や硬膜由来の細胞のどれが高周波電流刺激によって増殖して骨芽細胞に分化し骨形成が生じるのかを解明する。
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