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2019 年度 実施状況報告書

新たな歯周炎・リウマチ関連機序の解明-NET誘導性カルバミル化ペプチドの関与-

研究課題

研究課題/領域番号 17K11983
研究機関新潟大学

研究代表者

小林 哲夫  新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (00215344)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード歯周炎 / 関節リウマチ / カルバミル化 / 好中球細胞外トラップ / 関連機序
研究実績の概要

本研究の目的は、歯周炎と関節リウマチ(RA)の新たな関連機序を解明するため、RA患者群ならびに年齢・性別・喫煙・歯周状態が同程度の対照者群を対象に、Porphyromonas gingivalis感染レベル、血清中のシトルリン化変換酵素(PAD)、カルバミル化ペプチド(CarP)、好中球細胞外トラップ(NETs)の発現、P. gingivalis PADおよびシトルリン化ペプチドに対する血清抗体価についてプロファイリングを行うことである。
本年度は第3段階として昨年度にインフォームド・コンセントが得られたRA患者54名を対象に、新たな歯周検査指標である歯周炎症表面積(periodontal inflamed surface area: PISA)を定量評価し、リウマチ・血清検査の結果との関連性の検討を行った。
その結果、全患者54名のベースラインPISA値の中央値を基準に高値群27名と低値群27名に2分類したところ、ベースラインのリウマチ・血清検査値に群間差は認められなかったものの、PISA高値群では低値群と比較して、生物学的製剤治療後のリウマチ活動性指標(CDAI)の改善量が有意に少なかった。また、単変量・多変量解析の結果、ベースラインPISA値はCDAI変化量と有意な正の相関を認めた。
以上の結果から、RA患者の歯周炎の病状は生物学的製剤治療反応性と関連することが示唆された。このベースラインPISA値はシトルリン化蛋白に対する血清抗体価とも関連していたことから、シトルリン化蛋白の供給源であるNETsも歯周炎やRAの病態形成に関与している可能性が考えられる。今後、さらに対象数を追加して検討していく必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究実施計画においてプロファイリングを予定したRA患者および対照者の数と同等な臨床検体を確保でき、順調に解析や測定ができたため。

今後の研究の推進方策

歯周炎とRAの新たな関連機序の解明のためのプロファイリングをさらに進めるため、RA患者血清の好中球細胞外トラップ(NETs)の測定について解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

当初の研究実施計画よりも臨床検体の採取において進展があり、RA患者血清の好中球細胞外トラップ(NETs)の大規模測定を行う予定であったが、測定器具の不具合が長期間生じたため同測定が困難であった。その結果、本年度の費用総額が少額で済んだために次年度使用額が生じた。
今回生じた次年度使用額分については、当初計画したRA患者血清NETsの大規模測定を行うこととする。これによって、多数のRA患者の血清プロファイリングデータがさらに増え、その結果、歯周炎とRAの関連機序に係る統計解析の精度向上につながることが期待される。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] The periodontal inflamed surface area is associated with the clinical response to biological disease-modifying antirheumatic drugs in rheumatoid arthritis: a retrospective study.2020

    • 著者名/発表者名
      Yamashita Y, Kobayashi T, Ito S, Kaneko C, Murasawa A, Ishikawa H, Tabeta K.
    • 雑誌名

      Modern Rheumatology

      巻: in press ページ: in press

    • DOI

      10.1080/14397595.2019.1680100

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 関節リウマチ発症の環境要因としての歯周病2019

    • 著者名/発表者名
      小林哲夫
    • 学会等名
      第63回日本リウマチ学会総会・学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] トファシチニブ投与により歯周病の病状改善を認めた関節リウマチの2例2019

    • 著者名/発表者名
      小林哲夫
    • 学会等名
      第63回日本リウマチ学会総会・学術集会
  • [学会発表] 関節リウマチ患者におけるPISA, RA活動度および好中球細胞外トラップ血清レベルの関連性2019

    • 著者名/発表者名
      金子千尋
    • 学会等名
      第62回春季日本歯周病学会学術大会
  • [学会発表] JAK阻害薬による関節リウマチ患者の歯周病の改善2019

    • 著者名/発表者名
      小林哲夫
    • 学会等名
      第62回春季日本歯周病学会学術大会
  • [学会発表] オーラルケアとフレイル2019

    • 著者名/発表者名
      小林哲夫
    • 学会等名
      日本リウマチ学会中部支部学術集会 第31回中部リウマチ学会
    • 招待講演
  • [備考] 新潟大学大学院医歯学総合研究科歯周診断・再建学分野

    • URL

      http://mds.niigata-u.ac.jp/organization/ols/obs/per/index_j.html

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公開日: 2021-01-27  

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