研究課題
あらゆる観血処置にともない,一過性の菌血症が発生する。我々はこれまでの一連の研究で,中年期の歯周炎患者において,1) スケーリング・ルートプレーニング(SRP)後に高頻度で菌血症が発生すること,2) 抗菌薬(アジスロマイシン)併用やエルビウムヤグ(Er: YAG)レーザー治療により菌血症の発生を減少または抑制できること,3) 局所薬物配送システム(LDDS)は機械的除去療法前の使用でも歯周ポケット内環境を改善できることなどを報告してきた。一方,免疫力が低下している高齢者においては,菌血症が一過性で終わらず,全身性の高リスクとなる可能性がある。そこで,高齢者に適した安全かつ効果的な歯周治療法を確立し,超高齢社会のニーズに応えるべく、本研究では慢性歯周炎を有する高齢者のSRP時に発生する菌血症,それにともなう生体応答の解析,および光治療(Er:YAGレーザー)による菌血症予防の有効性検討を目的とする。具体的には、① ハンドスケーラー群:ハンドスケーラーにてSRP実施 ② エルビウムヤグ(Er: YAG)レーザー群:レーザーにて処置 の2群間で、(1) 菌血症の発生頻度・持続時間・規模(検出菌量) (2) 歯周ポケットおよび血中検出細菌のDNAタイプ解析 (3) 生体応答(炎症性メディエイター、ストレスマーカー) (4) 臨床パラメーター の経時的変化および相関関係を比較解析し、予防対策について検討する。現在、上記内容で研究が開始され、進行中である。
4: 遅れている
当初は、抗菌的光線力学療法(a-PDT)併用群:a-PDT照射後にハンドスケーラーにて処置 をプロトコールに入れていたが、予備実験で有効性の可能性が低いと判断されたため、群を削除し、プロトコールを再修正した。
被験者選定にあたり,条件を満たす者が予定数より少ない可能性がある。データに影響する要因でもあるため,今後も遵守していく。研究実施施設を研究代表者が非常勤で勤務する他大学との共同研究に変更する可能性を検討する。
次年度は前年度に比べて解析費用が多くかかることが見込まれる。また、資料収集のため関連学会に参加するため、旅費も前年度に比べて多めに計上する予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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