研究課題
マウス単球系細胞株RAW264.7を一定濃度のE.coli由来リポポリサッカライド存在下でM1マクロファージに、インターロイキン4存在下でM2マクロファージに類似した形質を有することを確かめた。実際の生体内では様々な因子が様々な濃度で存在する。そこで様々な濃度のE.coli由来リポポリサッカライドあるいはインターロイキン4存在下でのM1・M2マクロファージのマーカーを発現レベルを検討した。その結果、M1・M2マーカーの発現は濃度依存的であるが、ある一定濃度以上の濃度のリポポリサッカライド、インターロイキン4存在下ではほとんど変化を認めなかった。また低濃度のE.coli由来リポポリサッカライドあるいはインターロイキン4でも、M1・M2マクロファージのマーカーが低発現ではあるが認められた。生体内では様々な分化過程のマクロファージ様細胞が存在することが考えられる。歯周組織再生治療において、歯周組織局所に塩基性線維芽細胞増殖因子を投与する。投与された塩基性線維芽細胞増殖因子は組織に様々な濃度で拡散していくため、一定濃度のリポポリサッカライド、インターロイキン4でRAW264.7をマクロファージへ分化させる際に種々の濃度の塩基性線維芽細胞増殖因子を培養液に添加してマクロファージの分化度を検討した。その結果、塩基性線維芽細胞増殖因子50-100マイクログラム/mlの濃度が、M1マクロファージからM2マクロファージに類似した形質を最も顕著に誘導することが明らかとなった。
3: やや遅れている
マウス由来単球系細胞はin vitro条件下でM1・M2マクロファージに分化し、FGF-2存在下でM1マクロファージはM1マクロファージの形質を減弱させてM2マクロファージの形質を有することを明らかにした。またヒト末梢血液由来CD14陽性単球は、FGF-2存在下でM2マクロファージに類似した形質を持つことを示した。しかしながら、マクロファージと歯根膜由来細胞を共培養する実験については共培養するにあたっての至適条件の設定が困難であり、現在なお検討中である。
異種細胞間の細胞同士の接触による情報伝達を検討するため、マクロファージと歯根膜細胞の共培養システムを構築する。異なる形質のマクロファージと細胞接触することによって歯根膜細胞がどのように分化するかを検討する予定である。
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