研究課題
現在では数多くの歯周組織再生療法が臨床応用されているが、いずれも適応症が限られており、加えて歯周組織は再生過程において常に口腔細菌による感染の危険性に曝されている。一般に再生過程は炎症により強く阻害されるため、歯周組織再生の成功には速やかな歯周炎の収束誘導が不可欠である。本研究の目的は、Spry2が阻害される作用点をタンパク質構造解析より割り出しSpry2阻害剤を開発することである。最終的に、歯周組織破壊が起きた部位に、創薬されたSpry2阻害剤を局所適用することで、炎症の終焉および速やかな骨造成が開始される新しい歯周組織再生療法を開発し、その有用性を確立したいと考えている。現在までの研究成果は以下の通りである。歯周組織再生の過程において歯槽骨造成は重要である。そこで、MC3T3-E1細胞を用いて骨芽細胞に対するSpry2の影響を検討した。塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の刺激に対し、Spry2の強発現は対照群と比べて細胞増殖を有意に抑制した。さらに、Spry2はbFGF刺激に対してErk1/2のリン酸化を抑制し、BMP刺激におけるSmad1/5/8のリン酸化を阻害した。さらに、Spry2はOsterix、ALP、OCNの発現を遺伝子レベルで抑制し、その結果、骨芽細胞の石灰化を阻害した。以上のことより、Spry2はFGF、BMPの両シグナル経路を通して細胞機能に影響を与えることが示唆された。
すべて 2020 2019 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件) 備考 (2件)
Frontiers in Immunology
巻: 11 ページ: 709
doi.org/10.3389/fimmu.2020.00709
Nutrition & Metabolism
巻: 16 ページ: 32
doi: 10.1186/s12986-019-0372-5.
http://www.dent.kyushu-u.ac.jp/perio/
https://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K003417/index.html