研究課題/領域番号 |
17K11987
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福田 隆男 九州大学, 歯学研究院, 助教 (80507781)
|
研究分担者 |
西村 英紀 九州大学, 歯学研究院, 教授 (80208222)
讃井 彰一 九州大学, 大学病院, 講師 (70507780)
武富 孝治 久留米大学, 医学部, 講師 (10553290)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 歯肉幹細胞 / エクソソーム / マクロファアージ |
研究実績の概要 |
【研究目的】近年、間葉系幹細胞による疾病治療効果には、その多分化能のみならず、分泌されるエクソソームが中心的役割を果たしていることが明らかされている。申請者は間葉系幹細胞の中でも歯肉幹細胞(hGMSCs)のエクソソームを多量に分泌する特性とその活性を担うエクソソーム内miRNAに注目した。その中でも、本研究において、歯肉幹細胞が分泌するエクソソームによる修復性(M2)マクロマージ誘導作用に着目し、最小限の幹細胞から歯周病の炎症の収束・組織リモデリング・再生シグナルを効果的に誘導する新規歯周病療法の開発を目的とする。 【研究内容】歯肉幹細胞エクソソームに含まれるmiRNAについて、炎症の収束・組織のリモデリングに必須である修復性マクロマージ誘導に関わる標的miRNAの同定を行うこととした。まず患者の歯肉サンプルよりhGMSCsを単離し、これらの細胞について、幹細胞陽性マーカーCD105, CD73,CD90を発現しており、陰性マーカーCD45, CD34,CD11bは発現していないことをフローサイトメトリーで確認した。また、石灰化・脂肪分化の多分化能についても確認し、幹細胞の表現型を有していることを確認した。さらに細胞培養上清からのエクソソーム回収を、エクソソームマーカータンパクであるCD9, CD81, CD63の発現で確認した。さらに、hGMSCsをTNF-α刺激の有無の群に分けてエクソソームを回収し、エクソソームmiRNAの発現変動について、マイクロアレイ法により解析を行った。現在、TNF-α刺激で発現亢進のみられたmiRNA上位5種について、それぞれのmimic miRNAをとPMA分化マクロファージ様細胞を用いて、M2マクロファアージ誘導の中心となるmiRNAの解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト歯肉幹細胞(hGMSCs)由来エクソソームのもつ修復性マクロファアージ誘導能の中心的役割を果たすエクソソーム内miRNAの解析について、hGMSCの単離とその幹細胞特性の評価に時間がかかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
M2マクロファージ誘導に重要なmiRNAを同定後は、歯肉幹細胞にTNF-α刺激もしくは同定 したmiRNAの強発現(mimic)を導入しながら以下のin vitro機能解析実験を行う。 1. 蛍光標識(PKH26)エクソソームによる細胞内取り込みの確認 2. 標的miRNA過剰発現によるM2(修復性)マクロファージ転換促進の検証 3. 標的miRNA過剰発現によるマクロファージのSignal Transduction解析 4. マクロファージの機能測定(貪食能や炎症性サイトカインの分泌量 以上の結果をIn vivoにおいて、歯肉幹細胞由来エクソソームのマウス歯周炎モデルにおける検証が進められるよう準備を進めてゆく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 消耗品試薬を一括購入により、予定よりも低価格で購入できコストを下げられた (使用計画) 次年度の解析項目が多岐にわたるため、試薬購入にまわす予定である。
|