研究課題/領域番号 |
17K11990
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
花谷 智哉 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60649250)
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研究分担者 |
臼井 通彦 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (10453630)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯周再生医学 |
研究実績の概要 |
ヒト抜去歯から採取した歯根膜組織(PDL)より,酵素法にてPDLを単離し,ATCCより購入したヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を組み合わせて,マイクロウェルチップを用いて共培養スフェロイド(PDL : HUVEC = 1 : 1,1 : 2,2 : 1)を作製した。 real time RT-PCRでスフェロイド形成7, 10, 14日後に多能性マーカー(Oct4, Nanog)の遺伝子発現を確認した。 骨分化条件(dexamethasone,ascorbate,β-glycerophosphateを含む培地)で培養した共培養スフェロイドの骨関連遺伝子(ALP,Runx2,COL1)の発現を,骨分化条件培養の7,10,14日後にreal time RT-PCRで定量測定した。7,10日目で共培養スフェロイドは単層培養PDLに比べて高い遺伝子発現を示した。 骨分化条件で培養した共培養スフェロイド内に形成された石灰化骨結節を証明するために,7,10,13,17,21日後にアリザリンレッド染色を行い,陽性に染色された石灰化結節についてImage Jで定量した。共培養スフェロイドは単層培養PDLおよびPDLスフェロイドよりも石灰化結節量が多く,早期に石灰化結節が形成されたことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト歯根膜細胞(PDL)および血管内皮細胞を併用して作製した共培養スフェロイドの機能分析を行った結果、単層培養PDLおよびPDLスフェロイドと比較して、共培養スフェロイドは幹細胞関連遺伝子(Oct4, Nanog)、骨関連遺伝子(ALP,Runx2,COL1)の発現亢進や石灰化結節量の増加という共培養スフェロイドの優位性が示された。。
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今後の研究の推進方策 |
歯根膜細胞スフェロイドのラット歯周組織欠損モデルへの移植とVEGFの投与を以下の通り進めていく予定である。 歯周組織欠損モデルへの応用として、ラット歯周組織欠損の作製を行う。まずラット(SD)上顎両側第一大臼歯周囲の歯肉を切開・剥離し、実体顕微鏡下でラウンドバーを用いて歯槽骨、歯根膜およびセメント質を除去することにより、歯周組織欠損(3壁性骨欠損)を作製する(Iwasaki K et al., Tissue Eng PartA, 2014)。そして、作製した歯周組織欠損部に歯根膜細胞スフェロイド移植とともにVEGFを投与する。その他に、VEGF投与群、歯根膜細胞シート移植群、歯根膜細胞スフェロイド移植群を設定する。また、スキャホールドとして、マトリゲル(BD社)を使用する。各群8匹のラットを予定している。その後、28、56日後にと殺し、歯周組織欠損部に再生された組織を三次元μCT, 組織切片(HE染色)にて評価する。組織切片上で、セメント質、歯根膜の再生を観察する。また、血管新生を評価するために、CD31, VE-カドヘリン抗体染色を行い、創傷治癒・再生の過程における血管侵入について確認する。また、早期血管マーカーであるFlk1, Tie2についても検証する。
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