研究課題/領域番号 |
17K11990
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
花谷 智哉 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60649250)
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研究分担者 |
臼井 通彦 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (10453630)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歯周再生医学 |
研究実績の概要 |
共培養スフェロイドによる歯周組織再生について検討するために,SDラット(44匹)の上顎両側第1大臼歯近心根分岐部に,歯科用バーを用いて歯周組織欠損(1.3mm×1.0mm×1.0mm)を作製し,マトリゲルをスキャフォールドとして,共培養スフェロイド(PDL : HUVEC = 1 : 1,1 : 2,2 : 1),PDLスフェロイド移植を行った。コントロールとして,単層培養PDL移植,単層培養HUVEC移植,マトリゲル移植,偽手術(sham)を行った。 術後4週,8週で屠殺し,根分岐部における再生歯槽骨量(骨充填率)を水平断CT画像で2次元的に,根分岐部におけるBV/TVを3次元的に測定した。術後4週,8週において,スフェロイド移植群は単層培養群と比べて骨充填量および骨密度(BV/TV)ともに回復していた。 さらに,屠殺したサンプルを上顎第1大臼歯近心頬側根と口蓋根を含む断面で切断して薄切脱灰連続切片を作製し,ヘマトキシリン・エオジン染色を行って歯周組織再生について組織学的に評価した。欠損部に新たに再生した新生骨面積率は,スフェロイド移植群では単層培養群と比べて大きかった。また,歯根膜線維がセメント質に埋入したシャーピー線維はスフェロイド移植群のみに観察され,セメント質の新生と歯根膜線維の貫入を伴う新生セメント質長さの割合は,共培養スフェロイド移植群ではPDLスフェロイド移植群や単層培養群と比べて上昇していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共培養スフェロイドによる歯周組織再生について検討のための実験において,歯周組織欠損モデルを作製してその根分岐部での再生歯槽骨量(骨充填率)は単層培養群と比較して,スフェロイド群は回復しており,スフェロイドの有効性が証明された。 また切片を作製し,歯周組織の再生をヘマトキシリン・エオジン染色により比較したところ,新生骨面積率についても単層培養群と比較してスフェロイド群のほうが大きく,これにおいてもスフェロイド移植群の有効性が証明された。
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今後の研究の推進方策 |
5-0絹糸をリガチャーとしてマウス(C57BL/6J)の上顎左側第二大臼歯または下顎左側第一大臼歯に巻き,結紮部位にプラークが蓄積することで歯周組織に炎症を引き起こし,歯槽骨に水平性骨欠損を形成する。 作製した歯周組織欠損部に歯根膜細胞スフェロイド移植とともにVEGFを投与する。その他に,VEGF投与群、歯根膜細胞シート移植群,歯根膜細胞スフェロイド移植群を設定する。また,スキャホールドとして,マトリゲル(BD社)を使用する。各群8匹のマウスを予定している。 7,14,28,40日後にと殺し,歯周組織を評価する。
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