研究課題/領域番号 |
17K11991
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
長澤 敏行 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90262203)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | agonistic autoantibody / hypertension / ARB |
研究実績の概要 |
超高齢社会の日本においては脳梗塞の予防は喫緊の課題であり、最大のリスク因子である動脈硬化と高血圧 を抑制することが必要である。高血圧も歯周炎と関係することが報告されているが、現在まで歯周炎が高血圧を悪化させるメカニズ ムは不明である(Am Heart J 2016:98)。血圧はアンギオテンシンやアドレナリンがそれぞれの受容体 (receptor)に結合することで上昇する。重度高血圧症患者ではこれらの受容体にアゴニストとして結合する 自己抗体(Agonistic autoantibody: Aab)が高頻度にみられることが報告され、高血圧を引き起こす自己抗体として Angiotensin II type 1 receptor(AT1R)に結合する自己抗体(AT1R-Aab)とα1 adrenergic receptor に結合する自己抗体(α1AR-Aab)が注目されている。この自己抗体が受容体上のどの部位(アミノ酸配列)に 結合するかも明らかとなっているが、なぜ自己抗体が誘導されるのかは不明とされている。そこで本研究ではAT1R-Aab およびα1AR-Aab の結合部位と歯周病原細菌の間には分子相動性があるのではないかという仮説の下にAT1R-Aab およびα1AR-Aab が結合するアミノ酸配列と歯周病原細菌のアミノ酸配列を検索した。その結果、P.gingivalis がAngiotensin IIの受容体結合部位であるAFHYESQと相同性を持つAFDYENQペプチド、α- 1 adrenergic receptorの結合部位であるAPEDETICQINと相同性を持つAPEDE QINペプチドを有することを見出し、合成ペプチドを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
合成ペプチドを用いてELISA並びにフローサイトメトリーのシステムを構築するのに時間がかかっている。またマウスの血圧を測定するシステムの導入に関して調査を続けており、その経費によってはヒトを対象とした調査を先行させるべきか検討しているため、進行が少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Angiotensin II type 1 receptor(AT1R)に対する Agonistic autoantibody(Aab)の結合部位の AFHYESQ ペプチドをマウスに免疫して自己抗体(AT1R-Aab)を誘導し、高血圧マウスを作成する。その際に AT1R-Aab と高血圧の関係を詳細に検討して AT1R-Aab の診断システムを確立する。その上で治療法として既存の降圧剤の効果を検討する。さらに新たな治療法として経口免疫寛容による AT1R-Aab の抑制を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究ではペプチドに対する抗体の測定システムの構築に遅れが生じているため、測定システムが完成次第、測定のための消耗品購入に使用される予定である。
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